秋風記
本文約7,900字 ・ 読了時間 約16分
あらすじ(AIが作成しました)
晩秋、死を願う作家は、家族同然の女性Kと共に湯河原へ旅立つ。心中をも示唆する危うい二人だが、目的地で過ごすうちに互いの孤独や生きることの苦悩を吐露する。滞在中、些細な言い合いや芸者を交えた遊戯を経て二人の関係は揺れ動く。雨の夜、散歩中のKは突然バスの車輪に引きずり込まれる事故に遭う。病院へ運ばれ回復に向かうKに対し、作家は銀座で求めた青銅の指輪を贈り、Kから子供の写真を送られるという、穏やかな交流の断片を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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立ちつくし、
ものを思へば、
ものみなの物語めき、 (生田長江)
あの、私は、どんな小説を書いたらいいのだろう。私は、物語の洪水の中に住んでいる。役者になれば、よかった。私は、私の寝顔をさえスケッチできる。
私が死んでも、私の死顔を、きれいにお化粧してくれる、かなしいひとだって在るのだ。Kが、それをしてくれるであろう。
Kは、私より二つ年上なのだから、ことし三十二歳の女性である。
Kを、語ろうか。
Kは、私とは別段、血のつながりは無いのだけれど、それでも小さいころから私の家と往復して、家族同様になっている。そうして、いまはKも、私と同じ様に、「生れて来なければよかった。」と思っている。生れて、十年たたぬうちに、この世の、いちばん美しいものを見てしまった。いつ死んでも、悔いがない。けれども、Kは、生きている。子供のために生きている。それから、私のために、生きている。
「K、僕を、憎いだろうね。」
「ああ、」Kは、厳粛にうなずく。「死んでくれたらいいと思うことさえあるの。」
ずいぶん、たくさんの身内が死んだ。いちばん上の姉は、二十六で死んだ。父は、五十三で死んだ。末の弟は、十六で死んだ。三ばん目の兄は、二十七で死んだ。ことしになって、そのすぐ次の姉が、三十四で死んだ。甥は、二十五で、従弟は、二十一で、どちらも私になついていたのに、やはり、ことし、相ついで死んだ。
どうしても、死ななければならぬわけがあるのなら、打ち明けておくれ、私には、何もできないだろうけれど、二人で語ろう。一日に、一語ずつでもよい。ひとつきかかっても、ふたつきかかってもよい。私と一緒に、遊んでいておくれ。それでも、なお生きてゆくあてがつかなかったときには、いいえ、そのときになっても、君ひとりで死んではいけない。そのときには、私たち、みんな一緒に死のう。残されたものが、可哀そうです。君よ、知るや、あきらめの民の愛情の深さを。
Kは、そうして、生きている。
ことしの晩秋、私は、格子縞の鳥打帽をまぶかにかぶって、Kを訪れた。口笛を三度すると、Kは、裏木戸をそっとあけて、出て来る。
「いくら?」
「お金じゃない。」
Kは、私の顔を覗きこむ。