TORENDIA
支那人の文弱と
保守
桑原隲蔵
TORENDIA
支那人の文弱と保守
本文約16,100字 ・ 読了時間 約33分
あらすじ(AIが作成しました)
支那人の民族性に共通する特徴として、文弱と保守という二点を歴史的事実に基づいて論じる。先天的性質に加え、平和思想を説く儒教の影響や、実利を求める打算的な慣習により、争いを避ける平和的な気風が醸成されたと説く。また、長年維持してきた自国文明への自負と儒教の保守的思想が、新しい制度を旧来のものと並存させてしまう停滞を招いていることを指摘し、今後の西洋文明との調和に対する課題を提示する。
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緒論
個人に就いて觀察しても、一人一人にその個性がある樣に、國民なり民族なりにも、それぞれ特有の氣質性癖をもつて居る。それを國民性又は民族性と申すのである。一つの國民なり民族なりの間には、隨分種々なる人間があつて、何等統一する所がない樣であるが、他の國民や民族と比較すると、自然に國民毎に、民族毎に、各自の特質をもつて居る。
支那人にも無論その民族性がある。支那人の尤も顯著なる民族性は、文弱的であること、保守的であることである。支那人が概して文弱・保守であるといふことは、廣く世間に知れ渡つて居つて、決して耳新しい事ではない。併し歴史上の事實と照らし合せて見ると、この支那民族の特質が一層明瞭になる。故に我が輩はこの論文に於て、主として歴史上の事實を基礎として、支那民族の文弱で保守であることを證明せようと思ふ。
一 支那人の文弱(上)
支那人が平和的文弱的である原因は種々あらうが、その主要なるものを擧げると、次の如くであらうと想ふ。
(一)[#「(一)」は縦中横]支那人の先天的性質がむしろ文弱的である。