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TORENDIA

明日の実力の為に

本文約1,200字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

文化政策における建設性のあり方と、次世代の育成について論じる。複雑な有機体である文化を、単純化された物語や形式的な遺産の整理で民衆に提供する手法の限界を指摘する。世界史的な変革期において、未来を担う世代の創造力を高めるためには、単なる知識の蓄積を超えて、精神的な骨格を培う深い文化的な洞察が必要であることを説く。現在の努力が明日を形作るという自覚を持ち、次代の日本を見据えた文化の構築を提言する。

宮本百合子

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🎧 明日の実力の為に / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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どんな時代でも文化について政策が考えられるとき、それが建設的でなければならないということは誰しも云っていると思う。政策という言葉に建設性がこもっているという風な解釈さえあると思う。けれども、実際にあたると、文化は複雑な有機体であって、建設的である過程も甚だいりくんでいる。

この間こんな話をきいた。明日の日本の文化と精神の建設について研究してそのための役についている人から、日本人にはもっとシェークスピアを理解させなければいけない。そう云っても「ハムレット」だの「オセロ」だの「リア王」だのを一つ一つ読んだりして理解することは一般民衆には出来ないのだから、一つあらゆるシェークスピアの作品を一つにぶちこんでとかして、その中から一つのストーリイをまとめて映画にでもすれば、日本の民衆はシェークスピアを理解することが出来るだろう。いくらか誤りがあるかもしれないが大略はそういう意味の意見をきいたそうだ。こういう意見も文化に対する政策というものが、その一つの構成要素として現在の幅のなかにふくんでいるものであろう。

日本の民衆にシェークスピアを理解させたいという希望が、そういう方法で思いつかれることは誰しも無限の感想を唆られると思う。

このような例は過去の文化上の貴重な遺産の整理ということについて、決して笑話に終らない本質をもっていると思える。

ドイツでは、大層盛大なワグナア祭典が行われていたり、ゲーテやシラーについて政府としての評価が語られたりしているようだ。

文化に対する理解がそこにあるとされているが、そういう国では現在青年群に与える読みものとしてそういう古典を整頓しているほか、その青年たちが成人したときその世代の文化的創造力を溌溂旺盛ならしめるために、どんな独創の可能を培いつつあるのだろうか。

世界史が書きかえられている。そのことはまざまざと私たちの胸から指のさきまで脈をうって伝わっている。世界史がかきかわり、日本も世界史的規模で新たになってゆくという現実のよりどころは、文化に即して云えば窮極のところ次の世代の創造の可能力如何にかかっているのが事実である。

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