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TORENDIA

二、〇〇〇年戦争

本文約34,000字 ・ 読了時間 約69分

あらすじ(AIが作成しました)

太青洋を挟んで対峙するアカグマ国とキンギン国は、高度な物質文明の下で覇権を争う。イネ国滅亡から三十年、アカグマ国による統治が完成したと祝う中、海底に潜伏し再起を期していたイネ帝国の戦士たちが潜水飛行艦隊を率いて蜂起する。イネ国軍は両国へ同時に侵攻し、かつての祖国領土を奪還するとともに、キンギン国の心臓部をも制圧する。海底から突如として浮上した軍勢により、二大国の支配体制は根底から覆され、イネ帝国の再建と太青洋の制覇が目前に迫る。

海野十三

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発端

そのころ、広い太青洋を挟んで、二つの国が向きあっていた。

太青洋の西岸には、アカグマ国のイネ州が東北から西南にかけて、千百キロに余る長い海岸線を持ち、またその太青洋の東岸には、キンギン国が、これまた二千キロに近い海岸線をもっていた。

キンギン国は、そこが本国であったが、アカグマ国のイネ州は、本国とはかなり距たっていた。早くいえば、イネ州というのは、かつてイネ帝国といっていたものが、アカグマ国のために占拠せられて、イネ州と改められたものであった。

太青洋は、二大国に挟まれ、今やしずかなる浪をうかべて、平和な夢をむさぼっているように見える。そのころ、西暦は、ついに二、〇〇〇年となった。

果して太青洋は、いつまでも、平和のうちに置かれているだろうか。そのころ、高度の物質文明は、人類をほとんど発狂点に近いまでに増長させていた。

祝勝日

桜の花は、もう散りつくした。

それに代って、樹々の梢に、うつくしい若葉が萌え出で、高き香を放ちはじめた。陽の光が若葉を透して、あざやかな緑色の中空をつくる。

イネ州は、いまや初夏をむかえんとしている。

紺碧の空に、真赤なアカグマ国の旗がひるがえっている鉄筋コンクリート建の、背はそう高くないけれど、思い思いの形をしたビルディングが、倉庫の中に、いろいろな形の函を置き並べたように、立ち並んでいる。一般に、その形は、四角か、或は円筒を転がして半分地中に埋めたような恰好であった。そしてどの屋上にも、アカグマ国の国旗は、ひらひらとはためいていた。

遠くで、楽の音がきこえる。

その楽の音をききつけて、建物の間を、ぞろぞろと、うすぎたない身なりをした男女の群衆が通っていく。

「あっちだ、あっちだ。なにが始まったんだろうな、あの音楽は……」

「お前、ぼけちゃいけないね。じゃあ、こっちから聞くが、なぜお前はきょうこうしてぬけぬけと遊んでいられるんだい」

「そんなことを聞いて、おれを験そうというのだな」

と、その男は、歯をむいたが、

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