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TORENDIA

宇宙尖兵

本文約35,600字 ・ 読了時間 約72分

あらすじ(AIが作成しました)

ベルリンに住む報道員の岸は、退屈な日常から抜け出すため、リーマン博士が計画する非常な超冒険旅行への参加を承諾する。機密保持のために即座の出発を強いられた岸は、地下飛行場から発進する宇宙艇に乗り込む。リーマン博士は、地球人類への挑戦が危惧される非有機的生物・X宇宙族の動向を探る目的を明かし、月や火星を拠点とする宇宙旅行の重要性を説く。宇宙尖兵として広大な宇宙に乗り出した一団は、困難な任務の遂行とX宇宙族との対峙に挑む。

海野十三

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作者より読者へ

うれしい皇軍の赫々たる大戦果により、なんだかちかごろこの地球というものが急に狭くなって、鼻が悶えるようでいけない。これは作者だけの感じではあるまい。そこで、もっと広々としたところを見出して、思う存分羽根を伸してみたくなって、作者はここに本篇「宇宙尖兵」を書くことに決めた。

書き出してみると、宇宙はなるほど宏大であって、実はもっと先まで遠征するつもりでいたところ、ようやく月世界の手前までしか行けなかったのは笑止である。

こういう小説を書くと、またどこからか、やれ荒唐無稽じゃ何じゃと流れ弾がとんでくることであろうが、本篇の巧拙価値はまず措き、とにかくわれわれ日本民族はもっと「科学の夢」「冒険の夢」を持たないことには、今日特に緊急とせられる民族的発展は、その必要程度にまで拡ることが出来ないと信ずるが故に、作者は流れ弾がとんできたら、それを掴んで投げかえす決意だ。

競争者

どえらいことを承諾してしまった。

「ようがす。どうせ当分ベルリンから抜けられそうもないし、それにひどく退屈しているんですから、生命の大安売、僕の体を気前よく賭けまさあね」

と、僕はその朝リーマン博士の前で、あっさりと返答を与えたわけであるが、それから始まって、もう抜きさしならぬこととなった。途中に二三度、これはよしたがいいかもしれぬと思いはしたものの、日本人たるものが一旦引受けておいて前言を飜したのでは、怖じ気をふるったようでみっともないから、未練も逡巡もぐんぐん胸の奥へ嚥みこんで、なんでも持っておいでなさい一切承知しましたと、リーマン博士の提案を全面的に引受けてしまったのである。

博士の提案とは、どんなものであったか。それを今詳しく述べている暇もないし、また詳しく述べたところが、僕の初めの想像と後の事実とは相当意外な開きを見せることになるので、肝腎の契約重点だけをここに述べて置こう。

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