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TORENDIA

時限爆弾奇譚

本文約9,900字 ・ 読了時間 約20分

あらすじ(AIが作成しました)

科学発明王・金博士は、十五年前に仕掛けた長期性時限爆弾が近日中に満期を迎えると上海の新聞で突如警告する。警告の対象には柱時計や水甕など日常生活の品が含まれており、市民は疑心暗鬼に陥り混乱を極める。実際に租界で連続爆発が発生する中、博士は秘書と食事を共にし、かつてアフリカ探検家に贈ったコンパクト型爆弾の行方を巡って対話する。自らが仕掛けた発明の因果と、恐るべき時限爆弾がもたらす騒乱と波紋を描く物語である。

海野十三

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なにを感づいたものか、世界の宝といわれる、例の科学発明王金博士が、このほど上海の新聞に、とんでもない人騒がせの広告を出したものである。

その広告文をここへ抄録してみよう。

全世界人ヘノ警告文

余スナワチ金博士は[#「金博士は」はママ]、今度ヒソカニ感ズルトコロアリテ、永年ニ亘ル秘密ノ一部ヲ告白スルト共ニ、之ニサシサワリアル向ニ対シ警告ヲ発スル次第ナリ。抑々今回ノ告白対象ハ、余ガ数十年以前ニ研究ニ着手シ、一先ズ完成ヲミタル「長期性時限爆弾」ニ関スルモノニシテ、左記ニ列挙シアル十二個ノ物件ハ、イズレモ来ル十二月二十六日ヲ以テ、満十五年ノ時限満期ニ達スル爆弾ヲ装填シアルモノニシテ、右期日以後ハ何時爆発スルヤモ計ラレズ、甚ダ危険ニ付、心当リノ者ハ注意セラルルヨウ此段為念警告ス。

とあって、その次行に「記」としるし、それから博士のいわゆる「十五年満期」の「長期性時限爆弾」を「装填シアル物件」が十二個ずらずらと列記してあるのであった。

このところまでの警告前文を、金博士め何をいいだしたやらと、半ば好奇的に睡気ざまし的に、机の上に足などをあげていて、この記事を読んできた連中は、その次の行へいって、大概呀っ! と大きく叫んで、その躯は椅子ごと床の上に転がったものである。

この一見ばかばかしき騒ぎは、新聞読者の余りにも周章てん坊たるを証明するわけでもあるが、しかし左記の十二項を読んでいくと、まあそのくらい騒ぐのも無理ならぬことのようにも考えられる。すなわち、まず第一号を読んでみると、

一、八角形ノ文字盤ヲ有シ、其ノ下二振子函アル柱時計ニシテ、文字盤の[#「文字盤の」はママ]裏ニ赤キ「チョーク」ニテ3036ノ数字ヲ記シアルモノ。

とある。

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