大宇宙遠征隊
本文約53,400字 ・ 読了時間 約107分
あらすじ(AIが作成しました)
総員四万余名からなる日本人の大宇宙遠征隊は、噴行艇と呼ばれる宇宙船に分乗し、大宇宙の深淵へと旅立つ。遠征の目的は、貴重物質ムビウムを求めてムーア彗星へ到達することであった。物語は、噴行艇アシビキ号に乗船する少年、風間三郎の視点から、月世界での探査や火星での経験を経て、過酷な宇宙の旅路を生き抜く隊員たちの姿を描く。やがて目的地に到達した遠征隊は、ムビウムの採集に成功し、地球への帰還の途につく。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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噴行艇は征く
黒いインキをとかしたようなまっくらがりの宇宙を、今おびただしい噴行艇の群が、とんでいる。
「噴行艇だ!」
噴行艇といっても、なんのことか、わからない人もあるであろう。噴行艇は、ロケットとも呼ばれていた時代があった。飛行機は、空をとぶことができるが、空気のないところではとべない。しかし噴行艇は、空気のないところでも、よくとべるのだ。艇尾へむけ、八本の噴管から、或る瓦斯を、はげしく噴きだすと、そのいきおいで、艇は前方にすすむのである。艇尾には、舵があって、これをうごかすと、とびゆく方向は、どうでもかわるのであった。大宇宙をとぶには、飛行機ではとてもだめであるが、この噴行艇なら、瓦斯のつづくかぎり、大宇宙をとぶことができる。
飛行機時代から、次にこの噴行艇時代にうつっていった。
それとともに、人間の目は、地球からはなれ、さらに遠い大宇宙へむけられたのであった。
今、おびただしい噴行艇の群も、大宇宙をとんでいく。
砲弾を大きくして、尾部に――噴管をつけ、そして大きな翼をうしろの方まで、ずっとのばすと、それはそっくり噴行艇の形になる。
銀白色のうつくしい姿の噴行艇だった。その胴に、ときどき前にいく僚艇の噴射瓦斯が青白く反射する。また、ときおりは、空を一杯に、ダイヤモンドをふりまいたような無数のかげが艇の胴のうえに、きらりと光をおとすこともあった。
ごうごうたる爆音をあげて、とびゆく噴行艇の群!
右まきの螺旋形をつくって、行儀よくとんでいく噴行艇群だった。
群は、前後に、いくつかのかたまりになって、無数の雁の群がとんでいるのと、どこか似たところがあった。
噴行艇の胴に、黄いろい鋲のようなものが並んでみえる。しかし、それは鋲ではない。丸窓なのである。
丸窓の類は、一つの噴行艇について、およそ百に近かった。その黄いろい丸窓から、人間の顔が一つずつのぞいたとしても、百人の人間が、艇内にいるわけだ。なんという大きな噴行艇であろうか。
しかし、噴行艇には、百人よりも、もっとたくさんの人間がのりこんでいた。