現実に立って
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あらすじ(AIが作成しました)
婦人参政権の付与に対し、生活の困窮から政治への不信や無関心を示す声がある一方、戦争を経験した若い女性たちの切実な願いや、社会を生き抜くための智慧を論じる。過去の不健全な政治や権利抑制の歴史を振り返りつつ、家庭の切り盛りを担ってきた女性が、社会の運営という視点でもその力を発揮し、現実的な生活課題を解決していく主体的な参政権の行使を模索する意義を説く。
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新聞に、ぽつぽつと婦人代議士として立候補を予測される人々の写真などがのりはじめた。自分ではっきり立候補の計画をもっている婦人たちは、ふさわしいと判断した政党に入党手続をしたと報道されているし、立候補を予測されている人の中で、自分は絶対に立候補しないと明言している婦人たちもある。
選挙という私たちの新しい仕事につれて、婦人は政治をどう考えるかという問題が、目前の事実として段々はっきりして来た。婦人有権者の総数は二千百六十八万人あって、その数は男子有権者よりも四十五万名多い。婦人は自覚、向上して、棄権しないように、という忠言もあちらこちらで聞かれる。けれども、率直にそれら二千百六十八万人の婦人の感想を求めたら、彼女たちの何割が果して今日における日本の女性の責任として、自分たちが急に与えられた権利を理解しているだろうか。
先日或る座談会でその話題にふれたとき、少くとも隣組の婦人たちの間では、婦人の参政権に対する興味の気ぶりさえも見られないということであった。「そんなことより食べることに忙しくて」と云う表現もきかれた。成程、そういう片づけかたをしている部分も決して少くはないであろう。しかし、最近の十数年間に、夥しい社会の波瀾にたえながら、少女から成熟した女性へと生きて来た今日の若い婦人たちが、そういう主婦たちと同じような心で、自分たちの行使すべき権利について考えていると思えば、それは一つの大きい謬りであると思う。