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TORENDIA

私の事

本文約310字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

外側の生活は変わらぬまま、内面では新しい世界が開けていく実感を綴る随筆。もっと多くを知り、感じたいという渇望と、驚きに満ちた日々への手応えを記す。

宮本百合子

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🎧 私の事 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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生活の外側は、元の通り至って平穏無事である。けれども内部は異って来た。

新らしい世界が開けて、自分に来たものは、所謂落付きでもなければ、理解でもない。一層の知り度さである。時々自分の心を顧て、今までの総ての過去が、その内容の貧弱でのみ思い出されるような事がある。真個に一人の人間が知り得る丈の事を知り、感じ得る丈の事を感じて、其処から力の及ぶ限り何物かを見出して行き度いものだと思わずにはいられない。非常に数多く、「初めて」の経験が自分を驚かせる。時には、眼や口や耳や頭が、驚異の余り散り散りばらばらに成りそうにさえ成る。生活は、何と云っても素晴らしい。有難く、謹んで、じりじりと仕事を遣って行くのだ。

〔一九二〇年八月〕

完

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