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TORENDIA

王成

本文約6,500字 ・ 読了時間 約13分

あらすじ(AIが作成しました)

平原の世家に生まれた王成は、懶け者ゆえに困窮した生活を送っていた。ある日、村の庭園で拾った金の釵をきっかけに、狐仙である老婆と出会う。老婆は亡き祖父に恩義があり、夫妻の生活を支えるため、王成に商売を促した。王成は葛布の商いで失敗し金も盗まれるが、生き残った一羽の鶉を武器に賭けの世界で再起を図る。老婆の導きと自身の奮闘により、王成一家はかつての繁栄を取り戻し、確かな財を築いていく。

蒲松齢

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王成は平原の世家の生れであったが、いたって懶け者であったから、日に日に零落して家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり、細君と乱麻を編んで作った牛衣の中に寝るというようなみすぼらしい生活をしていたが、細君が小言をいうので困っていた。それは夏の燃えるような暑い時であった。その村に周という家の庭園があって、牆は頽れ家は破れて、ただ一つの亭のみが残っていたが、涼しいので村の人達がたくさんそこへ泊りにいった。王成もその一人であった。

ある朝のことであった。寝ていた村の人達は皆帰っていったが、懶け者の王成一人は陽が高く昇るまで寝ていて起き、それでまだぐすぐすしていて帰ろうとすると、草の根もとに金の釵が一つ光っていた。王成が拾って視ると細かな文字を鐫ってあった。それは儀賓府造という文字であった。王成の祖父は衡府儀賓、すなわち衡王の婿となっていたので、家に残っている品物の中にその印のある物が多かった。そこで王成は釵を持ってためらっていると、一人の老婆が来て、

「もしか、この辺に釵は落ちていやしなかったかね。」

といった。王成は貧乏はしても頑固な正直者であったから、すぐ出して渡した。

「これですか。」

老婆はひどく喜んだ。「お前さんは正直者だ。感心な男だ、お蔭でたすかったよ。これは幾等もしないものだが、先の夫の形見でね。」

王成は儀賓府造の印のある品物を遺した夫という人の素性が知りたかった。

「あなたの夫というのは、どうした方です。」

と問うた。すると老婆が答えた。

「もとの儀賓の王柬之だよ。」

王成は驚いていった。

「それは私のお祖父さんですよ。どうしてあなたに遇ったのでしょう。」

老婆もまた驚いていった。

「ではお前さんは、王柬之の孫だね。私は狐仙だよ。百年前、お前さんのお祖父さんに可愛がられてたが、お祖父さんが没くなったので、私もとうとう身を隠してしまった。それがここを通って釵をおとして、お前さんの手に入ったというのも、天命じゃないかね。」

王成も祖父に狐妻のあったということを聞いていたので、老婆の言葉を信用した。

「そうですよ、天命ですよ、では、これから私の家へいってくれませんか。」

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