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TORENDIA

嬰寧

本文約10,700字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

聡明だが世間知らずな青年・王子服は、上元の節に出会った美しい娘に一目惚れし、恋煩いで臥せってしまう。従兄弟の嘘を信じ、手がかりを頼りに山中へ向かった王は、再会した娘・嬰寧と対面する。しかし、嬰寧は純真無垢で常に笑い声をあげる独特な性格であり、後に彼女が狐の血を引く存在であることが明らかになる。王が彼女を妻に迎えた後の不思議な生活と、嬰寧の出生にまつわる因縁、そして夫婦の絆を描く。

蒲松齢

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王子服はの羅店の人であった。早くから父親を失っていたが、はなはだ聡明で十四で学校に入った。母親がひどく可愛がって、ふだんには郊外へ遊びにゆくようなこともさせなかった。蕭という姓の家から女をもらって結婚させることにしてあったが、まだ嫁入って来ないうちに没くなったので、代りに細君となるべき女を探していたが、まだ纏まっていなかった。

そのうちに上元の節となった。母方の従兄弟に呉という者があって、それが迎いに来たので一緒に遊びに出て、村はずれまでいった時、呉の家の僕が呉を呼びに来て伴れていった。王は野に出て遊んでいる女の多いのを見て、興にまかせて独りで遊び歩いた。

一人の女が婢を伴れて、枝に着いた梅の花をいじりながら歩いていた。それは珍らしい佳い容色で、その笑うさまは手に掬ってとりたいほどであった。王はじっと見詰めて、相手から厭がられるということも忘れていた。女は二足三足ゆき過ぎてから婢を振りかえって、

「この人の眼は、ぎょろぎょろしてて、盗賊みたいね。」

といって、花を地べたに打っちゃり、笑いながらいってしまった。王はその花を拾ったが悲しくて泣きたいような気になって立っていた。そして魂のぬけた人のようになって怏怏として帰ったが、家へ帰ると花を枕の底にしまって、うつぶしになって寝たきりものもいわなければ食事もしなかった。

母親は心配して祈祷したりまじないをしたりしたが、王の容態はますます悪くなるばかりで、体もげっそり瘠せてしまった。医師が診察して薬を飲まして病気を外に発散させると、ぼんやりとして物に迷ったようになった。母親はその理由を聞こうと思って、

「お前、どうしたの。お母さんには遠慮がいらないから、いってごらんよ。お前の良いようにしてあげるから。」

といって優しく訊いても黙って返事をしなかった。そこへ呉が遊びに来た。母親は呉に悴の秘密をそっと聞いてくれと頼んだ。そこで呉は王の室へ入っていった。王は呉が寝台の前に来ると涙を流した。呉は寝台に寄り添うて慰めながら、

「君は何か苦しいことがあるようだが、僕にだけいってくれたまえ。力になるよ。」

といって訊いた。王はそこで、

「君と散歩に出た日にね。」

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