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TORENDIA

庚娘

本文約5,000字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

流賊の乱で離散した金大用は、道中で王十八を名乗る男の舟に同乗するが、水上で両親を溺死させられる。難を逃れた妻の庚娘は、仇である王の家へ連れ去られるも、機転を利かせて王とその母を討ち取る。その後、庚娘は自害を図り埋葬されるが、盗掘者によって一命を取り留める。やがて金と庚娘は再会を果たし、夫の再婚相手であった唐氏と共に、数奇な運命を経て再び結ばれる物語である。

蒲松齢

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🎧 庚娘 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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金大用は中州の旧家の子であった。尤太守の女で幼な名を庚娘というのを夫人に迎えたが、綺麗なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴れて南の方へ逃げた。

その途中で金は少年に遇った。それも細君と一緒に逃げていく者であったが、自分から、

「私は広陵の王十八という者です。どうか路案内をさしてください。」

といった。金は喜んで一緒にいった。河の傍へいった時、庚娘はそっと金に囁いた。

「あの男と一緒に舟に乗ってはいけませんよ。あれは時どき私を見るのです。それにあの目は、動いて色が変りますから、心がゆるされませんよ。」

金はそれを承知したが、王が心切に大きな舟をやとって来て、代って荷物を運んでくれたり、苦しいこともかまわずに世話をしてくれるので、同船をこばむこともできなかった。そのうえ若い細君を伴れているので、たいしたこともないだろうという思いもあった。そして一緒に舟に乗って、細君と庚娘とを一緒においていると、細君もひどくやさしいたちであった。

王は船の舳に坐って櫓を漕いでいる船頭と囁いていた。それは親しくしている人のようであった。

間もなく陽が入った。水路は遥かに遠く、四方は漫漫たる水で南北の方角も解らなかった。金はあたりを見まわしたが、物凄いのでひどく疑い怪しんだ。暫くして明るい月がやっとのぼった。見るとそのあたりは一めんの蘆であった。

舟はもう舟がかりした。王は金と金の父親とを上へ呼んだ。二人は室の戸を開けて外へ出た。外は月の光で明るかった。王は隙を見て金を水の中へつきおとした。金の父親はそれを見て大声をあげようとすると、船頭がでついた。金の父親もそのまま水の中へ落ちてしまった。金の母親がその声を聞いて出て窺いた。船頭がまたでつきおとした。王はその時始めて、

「大変だ、大変だ、皆来てくれ。」

といった。金の母親の出ていく時、庚娘は後にいて、そっとそれを窺いていたが、一家の者が尽く溺れてしまったことを知ると、もう驚かなかった。ただ泣いて、

「お父さんもお母さんも没くなって、私はどうしたらいいだろう。」

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