TORENDIA
鬼火を追う武士
田中貢太郎
TORENDIA
鬼火を追う武士
本文約460字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
鬼火を面白半分に追いかけた武士が小さな農家にたどり着くと、中では病の老婆が「娘への暇乞いから帰る途中、お武家さんに斬られそうになった」とうなされている、田中貢太郎の怪談。
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🎧 鬼火を追う武士 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ
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鶴岡城下の話であるが、某深更に一人の武士が田圃路を通っていると、焔のない火玉がふうわりと眼の前を通った。焔のない火玉は鬼火だと云う事を聞いていた武士は、興味半分に其の後を跟けて往った。
火玉は人間の歩く位の速度でふうわりふうわりと飛んでいた。武士は其の時其の火玉を斬ってみたくなった。武士は足を早めて火玉に近づいて往った。と、火玉は物に驚いたように非常な速力で飛びだした。それと見て武士もどんどんと走って追っかけた。
其のうちに火玉の前方に一軒の小さな農家が見えた。武士はそれを見て、人家があるなと思った時、火玉はいきなり其の農家の小窓の中へ飛びこんでしまった。武士は小窓の下へ往って立った。
と、其の時家の中で人声がした。
「どうしたの、お婆さん、お婆さん、そんなにうなされて、お婆さん」
すると赭がれた女の声がそれに応じた。
「あァ、怖かった、怖かった。わしは、この煩いでは、とても助からん思って、今、娘の処へ暇乞いに往って、帰っておると、お武家さんが見つけて、斬りに来たから、一所懸命になって逃げて来た。あァ、怖かった」
完
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