唖娘
本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
女形の石井孝三郎は、旅先の町で知り合った髪結いの唖の女と契りを結ぶ。一座の移動に伴い、女を連れて行くことを躊躇した石井は、別れるため女を置いて町を去る。しかし、次の巡業先で川原の死体を確認した石井は、それが捨てたはずの女であることに驚愕する。高熱で寝込む石井の病床へ、毎晩のように死んだはずの女が姿を現し、夫婦としての情交を求めてくる様子を描く。
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伊井蓉峰の弟子に石井孝三郎と云う女形があった。絵が好きで清方の弟子になっていた。あまり好い男と云うでもないがどことなく味のある顔をしていた。下廻で田舎を歩いていた時、某町で楽屋遊びに来る十七八のな女を見つけた。それは髪結をしている唖女であった。下廻で宿屋に往けないので小屋に寝臥していた石川はその女と関係して夫婦約束までした。
そのうちにそこの芝居は終って、一座は次の町へ往くことになった。いたる処で女をこしらえてそれを煙草の吸殻を捨てるように捨てて往くのを権利のように思っている社会ではあるし、女房を養う腕はなし、そのうえ唖ではとても将来をともにすることができないので石川もたかをくくっていると、はたの者が岡焼半分に、石川は他に佳い女があるので、捨てて往くつもりだと云ってたきつけた。たきつけられた女はその夜おそく石川の許へ来たが、来るなり石川に打ってかかった。石川はやっと女をなだめて、ともに伴れて往くことにして黎明を待って出発した。そして、立場に往ったところで夜が明けた。夜が明けると女は着がえの一枚も持っていないことに気が注いた。女は衣服と杖頭を執って来ると云って石川を待たしておいて引返した。石川は後でまた女のことを考えてみたが、どうしても唖の女を伴れて往くことはできないので、女に場所を知らしてないのを幸にしてそのまま逃げて目的の町へ往った。