世界怪談名作集
本文約11,200字 ・ 読了時間 約23分
あらすじ(AIが作成しました)
カンタベリーで不遇な生活を送るバーグレーヴ夫人のもとに、長い間疎遠であった友人ヴィール夫人が突然訪れる。二人は再会を喜び合い、信仰や昔話に花を咲かせるが、ヴィール夫人は自身の死後について不思議な遺言を残し、そのまま立ち去る。実は彼女は既に亡くなっており、バーグレーヴ夫人のもとへ現れたのはその亡霊であった。本作は、この不可解な出来事を証言する当事者の誠実さを通して、信仰の重要性と来世への備えを説く。
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この物語は事実であるとともに、理性に富んだ人たちにも、なるほどと思われるような出来事が伴っている。この物語はケント州のメイドストーン治安判事を勤めている非常に聡明な一紳士から、ここに書かれてある通りに、ロンドンにいる彼の一友人のところへ知らせてよこしたもので、しかもカンタベリーで、この物語に現われて来るバーグレーヴ夫人の二、三軒さきに住んでいる上記の判事の親戚で、冷静な理解力のある一婦人もまたこの事実を確証している。
したがって、治安判事は自分の親戚の婦人も確かに亡霊の存在を認めているものと信じ、また彼の友達にも極力この物語の全部はほんとうの事実だと断言している。そうして、その亡霊を見たというバーグレーヴ夫人自身の口から、この物語を聞いたままを治安判事に伝えたその婦人は、正直で、善良で、敬虔な一個の女性としてのバーグレーヴ夫人が、この事実談を一つの荒唐無稽な物語に粉飾するような婦人でないことを信じているのである。
私がこの事実談をここに引用したのは、この世の私たちの人生には更にまた一つの生活があって、そこに平等なる神は私たちが生きている間の行為にしたがって、それに審判をなされるのであるから、私たちは自分が現世でなして来たところの過去を反省しなければならない。また、私たちの現世の生命は短くて、いつ死ぬか分からないが、もし不信仰の罰をまぬかれて、信仰の酬いとして来世における永遠の生命を把握しようとするならば、今後すみやかに悔い改めて神に帰依し、努めて悪をなさず、善をおこなおうと心がけなければならない。幸いに神が私たちに目をかけて下されて、神の御前で楽しく暮らせるような来世のために、現世において信仰の生活を導いて下さるならば、ただちに神を求めなければならないということを、お互いに考えんがためである。