どろぼう猫
本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
縁側で顔を撫でる斑猫は、鼠を捕らぬ泥棒猫でありながら飼い主に可愛がられている。近所の赤犬は、おべっかばかりで傍若無人な振る舞いを続ける猫を疎ましく思い、家人の疑いをかけられた女中を不憫に感じていた。ある日、戸棚から牛肉を盗む猫の姿を目撃した犬は、嘘を並べて言い逃れようとする猫を問い詰める。家の中の平穏を守ろうとする犬と、傲慢な態度を崩さない猫の対立を中心に、ある一家の日常に起きた騒動を描く。
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お天気のいい日に斑猫が縁側に坐ってしきりに顔を撫で廻しておりました。この猫は鼠を一匹も捕らぬくせに泥棒猫で、近所から嫌われていましたが、「ニャーニャーゴロゴロ」とおべっかを使うのが上手なので、この家の人に可愛がられていました。
ちょうどこの家の赤犬が通りかかって、この猫を見ると声をかけました。
「ブチ子さん今日は」
猫はふり返って、
「オヤ赤太郎さん。だんだん地べたがつめたくなりましたね」
とあいさつをしました。
「ブチ子さんは何をしているのだね」
猫はすまして答えました。
「お化粧をしているのですよ。妾はあなたと違ってお客様のお座敷へも出るのですからね」
犬はイヤな奴だと思いましたが、我慢して別れました。
翌る日犬が又縁側を通ると、猫は畳の表を爪で力一パイバリバリと掻きむしっています。犬は見咎めて、
「何をしているんだい。ブチ子さん」
「畳の間のほこりを取っているんですよ。妾のする事を一々やかましく咎め立てておくれでない。畳の上の事と地べたの上の事とは勝手が違いますからね」
と不愛想に言いました。犬はいよいよ勘弁ならぬと思いましたが、このうちの人に可愛がられているのでジッと辛抱して出て行きました。
ちょうどこの頃、この家の台所の食べ物がチョイチョイなくなりました。しかもちゃんと戸が締まっている戸棚の中のものがなくなりますので、この家の人は女中さんを呼び出して
「お前が食べるのだろう。そうして犬や猫のせいにするのだろう」
と叱りました。女中は、何が取って行くのかわかりませんでしたから言い訳が出来ませんでした。犬に御飯をやる時に眼を真赤にして泣いている事もありました。
犬は女中さんがかわいそうでたまりませんでした。きっとあの猫が台所の食べ物を取るに違いないと、いつも猫のようすに気をつけておりました。
処がある日、犬がちょいと台所へ来てみますと、コワ如何に……猫は今しも戸棚の中から大きな牛肉の一きれを引きずり出そうとして夢中になっている処でした。犬は黙っているわけに参りませんでした。
「やいこの泥棒猫、何をするのだ」
と怒鳴りますと、猫はふり返って眼を怒らして、