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TORENDIA

ジイクフリードについて

本文約510字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

ジロオドウウの戯曲について、その独特な文体や現代的な思想、感覚を論じる。民族の伝統と国際理念の交錯という困難な立場において、現実とファンタジーの世界を展開する作者の才能を評価する。また、訳者木下熊男による翻訳の背景や、日本国内での上演における俳優の課題について言及し、作品が持つ現代の国際人という設定の特異性を解説する。

岸田國士

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ジロオドウウの戯曲は、その取材と云ひ、構想と云ひ、殊にその文体の一種独特な調子と云ひ、まさに現代フランス劇壇に齎らされた文字通りの新風である。

それはなによりも現代を呼吸する生活人の思想であり、感覚である。十九世紀的な分析の残骸を捨て去つて、直截簡明に原則を捉へる機敏な頭脳を先づ感じさせる。彼のレアリズムこそは「大戦後」のそれであり、民族の伝統と、国際理念との交錯するなかに、最も困難な文学的立場をおいて、身軽に、しかも堂々と、現実・プラス・フアンテジイの世界を展開してみせる憎々しいほどの才人である。

今こゝに訳された「ジイクフリード」一篇は、彼の作としては一番われわれに親み易い内容をもつてゐるといふ点で、訳者の選択眼に誤りはないと私は信ずると共に、その訳筆もまた、原作を知るほどのものからみれば、却つて苦心の跡が眼立たないのを不思議に感じるほどである。訳者木下熊男君は、巴里に滞在中、この作品の上演を六度も観て、翻訳の下ごしらへはとつくにできでゐたのださうである。さもあらうと思ふ。

さて、かういふ作品の日本での上演となると、まつたく私は途方に暮れる。現代の国際人の型は、わが俳優陣に最も欠けたものゝひとつだからである。

完

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