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TORENDIA

「速水女塾」について

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

昭和二十三年に執筆された本作は、文学座の公演を念頭に置いた戯曲である。俳優全員が配役される構成や、個々の素質を引き出す人物造形を目指し、演出や上演を前提とした筆が運ばれた。その後、舞台イメージの膨らみとともに追記も行われ、作品の肉付けが図られる。登場人物それぞれの生き方を肯定しようとする姿の面白さを描き出すことを軸に、演出家の久保田万太郎によって舞台化への試みがなされた。

岸田國士

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「速水女塾」は昭和二十三年の作である。私として戦後はじめての戯曲だけれども、それ以前約十年一日、いろいろな事情で、つい戯曲から遠ざかつてゐた。

そのせゐか、中央公論へ原稿を渡してしまつたら、あすこもここもと急に手を入れたくなり、いろいろ書き足したもので発表したい気持だつたが、発行日の都合でその希望は達せられず、やむなく旧稿のまま公表してしまひ、幸ひ追つかけて出版された単刊本を決定稿とすることになつた。

この戯曲の長さは、雑誌で発表した時は百三十枚だつた。雑誌が戯曲をよろこばないのは現在も昔とあまり変らないが、すべての雑誌がいつでも枚数をかれこれ云ふわけではないのに、どうも百枚以上といふことになると月刊雑誌には不向きといふ気が自分からしてゐた。そこへ当時の編集者Y君が、今度は十分に枚数をとるやうにと気前よく云つてくれた結果が百三十枚になつたのであるが、それでも私は相当遠慮がましい気持で原稿を渡したのである。

戯曲は直すと切りのないものであることを知りながら、必らず書き足りない不満がいつもあとへのこり、そしていざ上演となつて大事な点だけをあわてて直すといふのが普通だつたが、「速水女塾」は、文学座の出しものとして書くといふ意図が最初からあつたため、その稽古がはじまるまで、出来るだけ手を入れる必要と暇はあつた。原稿を活字にしてしまふと現金なもので、私はやつと「活字の舞台」から解放されたやうな、ほつとした新しい気分になつた。そこではじめて、俳優が演じ、観衆を前にした舞台のイメージが私の感興をあらためて刺激し、約四十枚ほどの書き込みをしたわけであるが、それが、いくぶん作品の肉付けに役立つたと自分では思つてゐる。執筆当時の事情は右のやうなものであつたが、演出のおぼえ書きといつても、いまことさらに註文したいこともない。

特に文学座のため、この作品を書くについて私の考へたことは

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