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TORENDIA

秋草の顆

本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

寡黙な性格の一族に属する語り手は、叔父や従弟の峻と共に、言葉を交わさずとも互いの心情を理解し合う関係を築いている。そこへおしゃべりな妻やその姪・貞子が加わり、家の中には対照的な性格が混在するようになる。ある晩、外出先から遅く戻った峻と貞子の靴に、同じ高原の秋草の顆が付着していることに語り手は気づく。互いに無言を貫きながらも、二人の間に通う親密な予感と静かな微笑みを、語り手は言葉にすることなく胸に抱く。

佐左木俊郎

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🎧 秋草の顆 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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寡黙と消極的な態度とは私達一族の者の共通性格と言ってもいいのだ。私は郷家に帰省して、二三日の滞在中、殆んど父母と言葉を交わさずに帰って来ることが少なくなかった。父もまた、田舎からわざわざ私達に会いに出て来ながら、妻の問いに対してほんの二言か三言の答えをするだけで、私とは殆んど口をきかずに帰って行くことが多い。別に私達親子の間の愛情が薄いからというわけではないのだ。私が、父の顔から父の言葉を聞くことが出来るのと同じように、父もまた私の顔から私の言葉を聞き取ってくれるのだ。私達はだからお互いに顔を見合わせればそれでいいのである。私達のそういう性格は、だが、しばしば他人からの誤解を受けて来た。他人から物事を頼まれると、それを断ることの出来ない性分なので、そういう場合には、いつも善良な人間のように思われるのであるが、消極的な態度がどうかすると傲慢な人間として誤解されることがあるのだ。

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