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TORENDIA

環礁

本文約36,400字 ・ 読了時間 約73分

あらすじ(AIが作成しました)

人口が百七、八十人を数える南洋の孤島。かつては豊かな島だったが、現在は子供が極端に少なく、唯一の子供である五歳の少女が島民から特別な畏怖と哀感を込めて崇められている。何故この島に子供が生まれないのか、原因は判然とせず、島は死滅への道を辿っている。かつてあった活気は失われ、将来は砂の亡霊のような小蟹が島を領するのみではないかと予感しつつ、滅びゆく島の静かな風景や人々の営みを叙述する。

中島敦

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寂しい島

寂しい島だ。

島の中央にタロ芋田が整然と作られ、その周囲を蛸樹やレモンや麺麭樹やウカルなどの雑木の防風木が取巻いている。その、もう一つ外側に椰子林が続き、さてそれからは、白い砂浜――海――珊瑚礁といった順序になる。美しいけれども、寂しい島だ。

島民の家は西岸の椰子林の間に散らばっている。人口は百七、八十もあろうか。もっと小さい島を幾つも私は見て来た。全島珊瑚の屑ばかりで土が無いために、全然タロ芋(これが島民にとっての米に当るのだ)の出来ない島も知っている。虫害のためにことごとく椰子を枯らしてしまった荒涼たる島も知っている。それだのに、人口僅か十六人のB島を別にすれば、此処ほど寂しい島は無い。何故だろう? 理由は、ただ一つ。子供がいないからだ。

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