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TORENDIA

「心理試験」序

本文約4,700字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

江戸川乱歩の創作集に寄せられた序文。日本の探偵小説界において傑出した非凡な技量を誇る著者の作品群を称賛する。特に「心理試験」については、英米の作品にも見当たらないほどの傑作であり、日本人として誇りを感じさせると評する。また、探偵小説が持つ怪奇や恐怖の魅力、そして犯罪に対する人々の心理にも触れつつ、日本近代探偵小説の鼻祖である著者の出現を日本探偵小説界における重要な出来事として祝福し、その意義を論じる。

小酒井不木

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🎧 「心理試験」序 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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江戸川乱歩兄から、こんど創作第一集を出すについて序文を寄せよとの事。わが探偵小説界の鬼才江戸川兄の創作集に、私が序文を書くなどということは、僭越でもあり恥かしくもあるが、同時にまた、私に序文を書かせてくれる江戸川兄の心が嬉しくてならぬ。で、とにもかくにも御引受して、さて、筆を取って見ると、少なからぬ興奮を覚え、いささか、かたくなった為体である。だから、うっかりすると、甚しく脱線したことを書かぬとも限らない。

二年ほど前、博文館の森下雨村氏からの紹介で、江戸川兄の処女作「二銭銅貨」を読んだとき、私は感心したというよりもむしろ驚いた。日本にこれだけの作家があろうとは思いも寄らなかったからである。実はその頃、何故日本に優れた探偵小説作家が出ないだろうかを不審に思い、日本人の生活状態が、探偵小説の題材に不似合なためだろうかと考えて見たこともあったが、それにしても、「日本式」ともいうべき作品が出てもよかりそうに思い、結局はやはり、日本人の頭脳が探偵小説に不適当かも知れぬと高をくくっていた矢先であるから、驚くと同時に、自分の考えちがいを恥じざるを得なかった。

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