中元祝酒の記
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あらすじ(AIが作成しました)
慶応四年、国事多端な革命の最中、世の士君子が競って戦の業に従事する中で、慶応義塾の門下生たちは志を変えず学問に励む。世間から桃源郷と称されるほど現世と隔絶した環境にあっても、各自が天賦の才を活かし自主的に道を修める姿勢は、戦う者たちと変わらぬ天道の法則であると説く。本書は、中元に同社の仲間が酒を酌み交わし、戦乱の世においても学問の運が衰えていないことを祝う様子を通じ、個々の自由と研鑽の尊さを綴る。
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『西洋事情外篇』の初巻にいえることあり。「人もしその天与の才力を活用するにあたりて、心身の自由を得ざれば、才力ともに用をなさず。ゆえに世界中、なんらの国を論ぜず、なんらの人種たるを問わず、人々自からその身体を自由にするは天道の法則なり。すなわち人はその人の人にして、なお天下は天下の天下なりというが如し。その生るるや、束縛せらるることなく、天より付与せられたる自主・自由の通義は、売るべからずまた買うべからず、人としてその行いを正しゅうし、他の妨をなすに非ざれば」云々と。
春来、国事多端、ついに干戈を動かすにいたり、帷幄の士は内に焦慮し、干役の兵は外に曝骨し、人情恟々、ひいて今日にいたる。ここにおいてか世の士君子、あるいは筆を投じて戎軒を事とするあり、あるいは一書生たるを倦みて百夫の長たらんとするあり、あるいは農を廃して兵たる者あり、商を転じて士たる者あり、士を去りて商を営む者あり。事緒紛紜、物論喋々、また文事をかえりみるに遑あらず。ああ、これ、革命の世に遁るべからざるの事変なるべきのみ。
この際にあたりて、ひとり我が義塾同社の士、固く旧物を守りて志業を変ぜず、その好むところの書を読み、その尊ぶところの道を修め、日夜ここに講究し、起居常時に異なることなし。もって悠然、世と相おりて、遠近内外の新聞の如きもこれを聞くを好まず、ただ自から信じ自から楽しみ、その道を達するに汲々たれば、人またこれに告ぐるに新聞をもってする者少なく、世間の情態、また何様たるを知らず、社中自からこの塾を評して天下の一桃源と称し、その景況、まったく世と相反するに似たり。