負けない少年
本文約7,000字 ・ 読了時間 約14分
あらすじ(AIが作成しました)
北極海に面したアラスカで暮らす少年キーシュは、貧しさの中で父の狩人としての誇りを受け継ぎ成長する。ある日、村の寄合で不当な肉の配分に異議を唱えた彼は、単身で北極熊の狩りに挑むことを決意する。大人たちの疑念をよそに、卓越した知恵を用いた狩りで次々と熊を仕留め、公平に肉を分配して村人から尊敬を集めるようになる。やがて彼は自ら編み出した狩猟法を村人に明かし、村の指導者として人々の暮らしを豊かに支え続ける。
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一
北アメリカ大陸の北はずれ、北極海にのぞんだアラスカのお話です。
この地方には、エスキモーという人種が氷の原に雪小屋をつくって、住んでいます。
キーシュは、あるエスキモーの村で、どの雪小屋よりも一番みじめな雪小屋にお母さんと二人っきりで住んでいる可愛らしい少年でした。キーシュのお父さんは立派な狩人で、村が飢饉で困った年に、村人たちのために食物にする肉を取って来ようとして獣とたたかい、とうとう命を落したのです。しかし、そういうことは、もう村人たちにも忘れられてしまって、あとに残ったキーシュとお母さんとは、貧しい暮しをしなければなりませんでした。
だが、キーシュは今ではもう十三歳になり、お父さんゆずりのがんじょうさと負けん気とを持つようになりました。
ある日、村の寄合の席で、村の頭がもう別に何もいうことはないか、と一座を見まわした時に、何と思ったか子供のキーシュがぬっと立ちあがりました。そして彼は、この間自分とお母さんのところへ分けてもらった肉は、硬くて古くて骨だらけだった。これからはもっとちゃんとした肉をもらいたいものだと、おそれげもなく文句をつけました。
彼は自分の力で自分の権利を守ろうと決心したのです。しかし、皆は子供のくせにと思って、キーシュの生意気なのにあきれかえりました。そこで、これからおとなの寄合に出て、生意気な口をきくとなぐるぞとおどかしつけて、彼を坐らせようとしました。
ところが彼はおどりあがって、皆が頼みに来るまでは、もう二度と寄合へ出て口なんかきいてやらないぞ、と負けずにどなり返しました。その上、これから僕は僕だけで狩をする、僕の殺して来た獣の肉はえこひいきなしに皆に分けてもらいたい、村の弱い人たちに、弱いからというので、ひどい分け方をするようなことをしてもらいたくない、といばりちらしました。それから小さな肩をそびやかして、その寄合のある雪小屋から出てゆきました。
おとなたちはうしろからからかったり、馬鹿にしたわらい声を投げつけたりしましたが、キーシュはかたく口を結んで、しっかり真正面を向いてふりむきもしませんでした。
二