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TORENDIA

星野くんの二塁打

本文約4,400字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

Rクラブの投手である星野は、郡内少年野球選手権大会をかけた試合の終盤、監督の別府からバントを命じられる。勝機をうかがう中で打撃への意欲を抑えきれなかった星野は、あえて強打し二塁打を放つ。勝利に貢献し英雄として称えられるが、翌日の練習で、作戦に背きチームの統制を乱したことを理由に別府から大会への出場停止処分を言い渡される。監督の正当な判断を受け入れた星野は、自らの過ちを深く自覚し沈黙する。

吉田甲子太郎

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🎧 星野くんの二塁打 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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一

当たりそこないの飛球が、ふらふらと遊撃手の頭上をこえていった。左翼手が、もうれつないきおいでつっこんできた。だが、球は、その一メートルばかりまえにポトリと落ちた。

R町の応援団は、「わあっ。」と、わきたった。

まったく、ひろいもののヒットである。

R町の少年野球団、Rクラブは、一回に一点、二回に一点を入れて、二点の勝ちこしのまま、相手の、T市少年野球団、Tクラブを六回まで無得点におさえてきた。ところが、七回の表に、いっきょ、その二点を取りかえされ、同点に追いこまれてしまった。こうなると、Rクラブの選手たちは、追われる者の心ぼそさを感じないわけにはいかない。延長戦に持ちこまれそうな不安をいだきはじめていた。

そこへ、七回のうら、Rクラブの最後の攻撃で、最初の打者、岩田が、安打で一塁に出たのだ。応援団が色めきたったのもむりはない。

よし、ここで一点。その一点で、勝敗がきまるのだ。Rクラブの選手たちの顔は、急に明るくなった。郡内少年野球の選手権大会の、出場チームになることができるかもしれない。

八番打者、投手の星野が、先のほうを四分の一ほど黒くぬった愛用のバットをさげて、バッターボックスへはいろうとした。だが、そのとき、伝令がきて、かれはベンチへよばれた。

一塁では、ランナーの岩田が足をそろえて、ぴょん、ぴょんと、はねている。足ならしをして、走塁の準備をしているのだ。

星野は、それをちらっと見て、ベンチへ行った。キャプテンの喜多と、監督をしている大学生の別府さんが、かれを待っていた。

「星野、岩田をバントで二塁へ送ってくれ。氏原に打たせて、どうしても確実に一点かせがなければならないから。」

別府さんは、正面から星野の目を見て、はっきりといった。

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