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TORENDIA

初看板

本文約15,400字 ・ 読了時間 約31分

あらすじ(AIが作成しました)

落語家柳家小さんが、自身のそそっかしい性格に振り回されながらも、信州での飛び入り出演から始まり、燕枝への弟子入り、そして真打昇進へと至る波乱万丈な修行の道筋を綴る。芸事の端々で偶然の成功を収めつつも、慢心せず芸の道を突き詰め、やがて大看板を継承するまでの経緯と、その傍らで引き起こす数々の滑稽な失敗談を描く。

正岡容

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……つらつら考えてみると、こんな商売のくせに私はムッツリしてていったい、平常はあなたもご存じの通りに口が重たいほうなのに、しかもいたってそそっかしい。これはまあどういう生まれつきなんだろうと、ときどき情なくなることがありますが、ほんとにムッツリとそそっかしいんです。いつかも銭湯で帽子をかぶり、股引をはいたまま、あわや湯槽へ入ろうとして評判になったし、裸で涼んでいてフイと用事を思い出し、その上へ羽織を引っかけてすまして電車へ乗って笑われたなんてこともありましたっけ。葉書を出しに行く途で鮭の切身をひと切れ買って、まちがえてその鮭のほうを郵便函へほうり込んでしまったこともありました。こいつはあとで郵便屋さんが葉書を集めにきて、さぞや肝を潰したことでしょう。どこの世界にあなた、郵便函から鮭の切身が出るなんてべら棒があるもんですかね。つまり、そんな人一倍のそそっかし屋だから、人生の戦い、芸の修業にも、はじめにあわてて喜んでしまい、とんだ失敗をやらかしたようなことになってしまったのかもしれませんや。

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