本文へ移動
TORENDIA

牧歌

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

森の中で執筆に励む「僕」は、浅間登山道で山人夫と牝牛が連れ立って歩く牧歌的な光景を目撃し、その印象を絵のように書き留める。かつて友人たちと過ごした楽しいひと時や、村での写生、草花に囲まれた森への案内といった追憶を交えながら、翌朝に村を去る「あなた」へ贈るため、植物の名を訂正した随筆を綴る。静かな自然の中での交流と、その背後に潜む風景の変容が描かれる。

堀辰雄

速度
🎧 牧歌 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 6

あなたの、お父さんの雜誌に書けといはれた隨筆でも書けたら書かうと思つて、かうやつてけふも森の中へ、例の大きな drawing-book をかかへて、來てゐるのです。僕の住んでゐる屋根裏部屋なんぞにくすぶつてゐるより、森の中でもぶらぶらさ迷つてゐるときの方が、ずつといい考への浮ぶのは當然。しかし僕も頭が惡くなつたせゐか、せつかくいい考へが浮んでも、そばから物忘れをしてしまふので、(ひとつにはそんな ephemeral なものしか考へられないからかも知れないのですが、)この頃はかうやつて繪描きのやうな眞似をして、その場ですぐそれを書きとめて置くのです。

堀辰雄の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本