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TORENDIA

温度

本文約390字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

時雨に濡れた紳士の絵がかかる音楽室で不意に頬を赤らめた少女が、やがて男に見初められ結婚し、子を思う束の間に不意に良人がやってくるまでを描く原民喜の掌編。

原民喜

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🎧 温度 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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音楽室の壁に額があった。中年の猫背の紳士が時雨に濡れて枯芝のなかを散歩してゐる――冷え冷えする絵だ。濡れ雑巾を持った儘、どうした訳か、彼女はたった一人で掃除当番をしてゐたのだが、ガラス窓の外にはやはり絵に似た時雨雲があった。

すると突然、先生がやって来た。はずみと云ふものは恐しく、彼女は何でもないのに真赤になってしまった。恐らくその音楽室が冷え冷えしてゐたためでもあらうか。

彼女は身体が熱ったり、冷えたりした。街で青年達を拾ったり、捨てたりした。

一人の青年が彼女を抱いて自棄にキリキリ踊った。彼女は平気で従いて廻った。すると間もなくその男から彼女は結婚を申込まれた。

もしも子が生れるとすれば、(ふと、彼女は女学校時代の気分に戻りつつあった。)do, si, la, sol, fa, mi, re, do ……この子の父は誰に似てゐるのだらう。

すると突然、良人がやって来た。彼女は単純に顔を赧めた。

完

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