TORENDIA
難船
原民喜
TORENDIA
難船
本文約400字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
崖の上に傾いたボロ家を難破船に見立てて眠れぬ夜を過ごす破産した男が、かつての商売の危うさを半生とともに思い返す原民喜の掌編。
速度
🎧 難船 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
ひどい家だ、ひどい嵐だ、崖の上にのつかってゐるそのボロボロの家は、難破船のやうに傾いてゐる。――今顛覆するか、もう今か、と思ひながら、ゴーと唸って雨戸にぶつっかる砂塵の音に寝そびれながら、彼は少し愉しいのだから変だ。彼は夢をみてゐるのであった。たったこの間まで目抜きの場所へ店を構へて、彼は山と積んだ負債を切抜けてゐたのだった。明日破産するか、来月は駄目かと思ひながら、彼は半生を頑張り通した。彼は号外が好きだった。何か素晴らしい事件が一枚の紙片から発生しはすまいかと、何時も待ち構へた。毎朝目が覚めると、世の中はどうなるのかと不安に脅えた。
しかし今彼は破産してしまって、郊外の破屋に棲んでゐるのであった。女房も丁稚もゐなかった。なにくそ、大丈夫だ、この家が顛覆するなら、してみろと彼は魘えながら闇の中で力み返った。あたかも女房や丁稚がまだその家にゐるやうな錯覚で、老いた彼はまだ一つの張りを持ってゐた。
完
原民喜の他の作品
TORENDIA
針
原民喜
針
原民喜 ・ 約3分
TORENDIA
馬頭観世音
原民喜
馬頭観世音
原民喜 ・ 約3分
TORENDIA
比喩
原民喜
比喩
原民喜 ・ 約2分
TORENDIA
風景
原民喜
風景
原民喜 ・ 約1分
TORENDIA
遍歴
原民喜
遍歴
原民喜 ・ 約1分
TORENDIA
小さな庭
原民喜
小さな庭
原民喜 ・ 約7分
TORENDIA
ある時刻
原民喜
ある時刻
原民喜 ・ 約4分
TORENDIA
画集
原民喜
画集
原民喜 ・ 約5分
TORENDIA
誕生日
原民喜
誕生日
原民喜 ・ 約3分
TORENDIA
ペンギン鳥の歌
原民喜
ペンギン鳥の歌
原民喜 ・ 約4分
TORENDIA
もぐらとコスモ
ス
原民喜
もぐらとコスモス
原民喜 ・ 約3分
TORENDIA
屋根の上
原民喜
屋根の上
原民喜 ・ 約3分