恐妻家庭円満術
本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
新婚早々に妻から拳を振るわれるという体験をした著者が、夫婦間の信頼や家庭を円満に保つための心得を綴る。結婚生活において妻を恐れることは尊敬と愛情の表れであり、社会の荒波に晒される夫を家庭内で支える妻の存在や、嘘のない誠実な関係、相手への細やかないたわりの大切さを説く。自身の家庭でのエピソードを通じ、嫁姑の良好な関係や、共に生活を営む中で育まれる夫婦の絆を多角的な視点から論じる一編である。
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女房と旦那という関係は何千万人の中から選ばれた二人なんで、これは仇やおろそかにするわけにいかないとボクは思っている。
ボクは結婚して三日目に女房になぐられた。いきなり横っ面をポカッとなぐられた。これには理由がありまして、新聞社の学芸部の仲間が宴会をやってくれたんですが、酒を飲んでるうちに夜遅くなった。友達は、
「お前酒が好きなんだから泊ってけ。女房が恐いんだろう」
という。男の虚栄心というものがありまして、
「恐いものかい! よし泊ってやろう」
ということになった。その時も友達が、
「あしたの朝おれたちがいってあやまってやるよ」
と、いったんですが、夜が明けて一しょに来てくれと頼むと、その連中、
「バカだな。とんでもねえ奴だよ。何だってキミはまあ結婚したばっかりでこんなことやったんだ。送ってなんか行けない」
ボクは一人にされちゃって、こわごわ玄関に入った時に、ヒラヒラと白い足袋が出た。シーンとした中で白い足袋が目についたと思ったら、ポカッとなぐられた。そのうしろにボクの母親がいた。その母親が、
「このバカ息子!」
と、どなって、女房に、
「もっとぶんなぐれ、癖になる」
そしたら、女房がまた元気を出してボクをなぐった。
ボクはそのまま逃げてしまった。しようがなくて義理の兄貴のところに行って頼んで帰ったような始末でしたが、その母親がボクにつかないで、バカ息子といって私をなぐらしたということが非常によかった。それだからうちの母と家内がうまくいった。嫁と姑という関係が非常によくいきまして、女房はうちの母を立てた。家庭はなごやかにできたんで、いま考えるとなぐられたということが私はよかった。そんな気がする。
しかし亭主がなぐられたということは、これはいけないことなんで、夫婦というものは最初にやられた方が負けなんで、それがボクにはいまだにつきまとっていて恐いんです。