TRENDIA CLASSIC
エキゾチックな
港街
小野佐世男
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佐世保へいらっしゃるんですって、佐世男が佐世保にいくなんて、なんかおかしいですね――、オホホホホ。あなたさまは日本人でしょう、オホホそれならお行きにならない方がお幸せですわ。……雲仙の旅館の女中は手を振った……。日本人は相手にされませんよ、靴をみがこうとなさっても駄目駄目。
オホホホ、女の子ですって、それこそ鼻もひっかけませんよ。それは北海道の果からも美人がおしかけておりますけれど、あきらめなさった方が、およろしいですよ、なにも佐世保ばかりが女の都といったわけでもありますまい、オホホホ。この雲仙にも、温泉でみがかれた玉の肌の女がおりますわよ――それに高い山の上ですもの霞をのんで生きているような美しい仙女ですよ。およし遊ばせ。ほんとの美人はこのような仙境に、がいしておるものですわ、オホホホ。お買物ですって駄目! 駄目! 日本語ではなんにも買えませんよ、タクシー、とんでもない、およし遊ばせったら、悪いことは申しあげませんよ。私は佐世保にいったことはありませんが、お客様がそのように申しているのを聞いたばかりなのですよ。およし遊ばせったら、およし遊ばせ。
いやもう驚いた。この様子では、せっかく九州の旅をしているのに、佐世保だけがまるで、遠くはるかなる外国のような気がして、志気大いにくじけるではありませんか。
佐世保のステーションに着いたのは黄昏時で、なるほど、下車する人を見ると米軍の士官や水兵達が大きなトランクや袋なぞをかついで、赤帽達が大わらわである。この調子で行くと雲仙の女中さんの話もまんざら嘘でもないらしいぞ。ちょいと心細くなって外へ出ると、タクシーがあった。恐る恐る話しかけて見ると、
O・K・オーケー。