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TORENDIA

寛政時代の娘納涼風俗

本文約420字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

寛政の頃の娘が夏の宵に月蝕を写し取る姿を描いた自作「月蝕の宵」について、俯き加減の構図にした理由や祇園の芸妓に顔だけモデルを頼んだ経緯を語る上村松園の談話。

上村松園

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🎧 寛政時代の娘納涼風俗 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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月蝕は今迄余り多く描かれて居りませんから一度描いてみたいと胸に浮びましたのが動機です。

あの画は寛政の頃の良家の娘さんの風俗で夏の宵広い庭に降り立って涼を納れて居ります時に「今夜は月蝕だわ……」とふと思い付いて最も見易いように鏡を持ち出して写し取っている所です。空を仰いで眺めているのでは落ち着きがなくて如何にも軽くなりますので、ああして俯向きがちの所を描きましたが、余り夜深になりますと反って凄うなりますから、宵の口で月蝕というものを題にして夏の夕方の納涼気分を現わしただけに過ぎません。

私の画はモデルは余り用いませんが、只顔の優しい型を取りたいために祇甲の萬龍はんとお久はんを最初に二時間ほど来て貰いまして、顔の形を整えましただけです。これがモデルと言えば先ずそうかも知れません。〈月蝕の宵〉は九月に入ってかかりまして出品間際にやっと出来上りましたばかりで篤と見ている間もないくらいでありました。

(明治四十三年)[#「(明治四十三年)」はママ]

完

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