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TORENDIA

京の夏景色

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

京都の街が近代化により様変わりするなか、著者自身の幼少期の記憶に刻まれた夏の風情を綴る。かつて四条大橋の下の河原で繰り広げられた納涼の光景や、夕立の後に御所の池から鯉が溢れ出た出来事、お盆の時期に紋付きの提灯を手に子供たちが町内を練り歩いた遊びや歌の数々を回想する。車が往来し子供が安心して外で遊べなくなった現代と対比させながら、古都の過ぎ去った季節の美しい記憶を慈しむように描いている。

上村松園

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🎧 京の夏景色 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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京都の街も古都というのはもう名ばかりで私の幼な頃と今とではまるで他処の国のように変ってしまってます。これは無理のないことで、電車が通り自動車が走りまわってあちこちに白っぽいビルデングが突立っている今になって、昔はと言っても仕様のないのは当りまえのことでしょう。加茂川にかかっている橋でも、あらかたは近代風なものに改められてしもうて、ただ三条の大橋だけが昔のままの形で残っているだけのことです。あの擬宝珠の橋とコンクリートのいかつい四条大橋とを較べて見たら時の流れというものの恐ろしい力が誰にも肯けましょう。私には三条の橋のような昔の風景がなつかしいには違いがありませんが、昔は昔今は今だと思うとります。私が五つ六つの頃結うたうしろとんぼなどという髪を結っている女の子は今は何処に行ったとて見ることは出来ないでしょう。ちか頃の女の子はみなおかっぱにして膝っきりの洋服を着ていますが、なかなか愛らしくて活溌で綺麗です。そうした女の子達を見ていると昔のつつをきゅうとしばったうしろとんぼの時代は、あれは何時のことだったのかと我れといぶかしく思うくらいなのですから。

でも、なつかしさはなつかしさですし、昔のよさはよさ、今でもはっきりとまるで一幅の絵のように何十年か前の京都の街々のすがたを思い浮べて一人楽しんでいる時がないでもありません。

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