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TORENDIA

初夢

本文約4,800字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

袴羽織姿の自分は、病が癒えたと信じて松山や各地を巡る夢を見る。雑煮を味わい、屠蘇を飲み、知人らと祝詞を交わしながら意気揚々と出かける。鉄道で移動し、故郷の風景や懐かしい庭の変遷に思いを馳せ、道後の発展を論じ、ついには城山を登って富士登山に挑む。砂を滑り落ちる感覚と共に目覚めると、現実の病室で痛みと共に新年を迎えている。これは病床の夢を通じて平癒への願いや故郷への郷愁、そして現実の苦悩を綴る。

正岡子規

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🎧 初夢 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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(座敷の真中に高脚の雑煮膳が三つ四つ据えてある。自分は袴羽織で上座の膳に着く。)「こんなに揃って雑煮を食うのは何年振りですかなア、実に愉快だ、ハハー松山流白味噌汁の雑煮ですな。旨い、実に旨い、雑煮がこんなに旨かったことは今までない。も一つ食いましょう。」「羽織の紋がちっと大き過ぎたようじゃなア。」「何に大きいことはない。五つ紋の羽織なんか始めて着たのだ。紋の大きいのは結構だ。(自分は嬉しいので袖の紋を見る。)仙台平の袴も始めてサ。こんなにキュウキュウ鳴ると恥かしいようだ。」「お雑煮をも一つ上げよか。」「もうよございます。屠蘇をも一杯飲もうか。おいおい硯と紙とを持て来い。何と書てやろうか。俳句にしようか。出来た出来た。大三十日愚なり元日なお愚なりサ。うまいだろう。かつて僕が腹立紛れに乱暴な字を書いたところが、或人が竜飛鰐立と讃めてくれた事がある。今日のも釘立ち蚯蚓飛ぶ位の勢は慥かにあるヨ。これで、書初めもすんで、サア廻礼だ。」

「おい杖を持て来い。」「どの杖をナ。」「どの杖ててまさかもう撞木杖なんかはつきやしないヨ。どれでもいいステッキサ。暫く振りで薩摩下駄を穿くんだが、非常に穿き心地がいい。足の裏の冷や冷やする心持は、なまゆるい湯婆へ冷たい足の裏をおっつけて寒がっていた時とは大違いだ。殊に麻裏草履をまず車へ持ていてもらって、あとから車夫におぶさって乗るなんどは昔の夢になったヨ。愉快だ。たまらない。」(急いで出ようとして敷居に蹶ずく。)「あぶないぞナ。」「なに大丈夫サ、大丈夫天下の志サ。おい車屋、真砂町まで行くのだ。」

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