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TORENDIA

句合の月

本文約3,100字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

病床に伏す正岡子規が、句合の「月」という題に対し、写実を旨として試行錯誤しながら推敲を重ねる過程を綴る。森の小道から川辺、水楼の情景へと次々に空想を広げ、古典文学の聯想も交えつつ、自らの病気や日常の記憶を反映させて俳句を練り上げる苦心と、俳句制作における修行の意義を考察する。

正岡子規

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🎧 句合の月 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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句合の題がまわって来た。先ず一番に月という題がある。凡そ四季の題で月というほど広い漠然とした題はない。花や雪の比でない。今夜は少し熱があるかして苦しいようだから、横に寝て句合の句を作ろうと思うて蒲団を被って験温器を脇に挟みながら月の句を考えはじめた。何にしろ相手があるのだから責任が重いように思われて張合があった。判者が外の人であったら、初から、かぐや姫とつれだって月宮に昇るとか、あるいは人も家もなき深山の絶頂に突っ立って、乱れ髪を風に吹かせながら月を眺めて居たというような、凄い趣向を考えたかもしれぬが、判者が碧梧桐というのだから先ず空想を斥けて、なるべく写実にやろうと考えた。これは特に当てこもうと思う訳ではないが自然と当てこむようになるのだ。

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