TRENDIA CLASSIC

北海道に就いての印象

有島武郎

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私は前後約十二年北海道で過した。しかも私の生活としては一番大事と思われる時期を、最初の時は十九から二十三までいた。二度目の時は三十から三十七までいた。それだから私の生活は北海道に於ける自然や生活から影響された点が中々多いに違いないということを思うのだ。けれども今までに取りとめてこれこそ北海道で受けた影響だと自覚するようなものは持っていない。自分が放慢なためにそんなことを考えて見たこともないのに依るかも知れないが、一つは十二年も北海道で過しながら、碌々旅行もせず、そこの生活とも深い交渉を持たないで暮して来たのが原因であるかも知れないと思う。

然し兎に角あの土地は矢張り私に忘られないものとなってしまっている。この間も長く北海道にいたという人に会って話した時、あすこにいる間はいやな処だと思うことが度々あったが、離れて見ると何となくなつかしみの感ぜられる処だなといったら、その人も思っていたことを言い現わしてくれたというように、心から同意していた。長く住んでいた処はどんな処でもそういう気持を起させるものではあろうが、北海道という土地は特にそうした感じを与えるのではないかと私は思っている。

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