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TORENDIA

北海道に就いての印象

本文約2,700字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

十二年間を過ごした北海道での生活体験を振り返り、その土地特有の自然や住民の気質について綴る。冬から春への劇的な季節の移ろいや、幻日などの北国特有の気象現象、札幌での学生時代の記憶などを通じ、この地の風土が持つ荒涼とした自由な魅力を描く。さらに、かつての開拓史における為政者の構想に触れつつ、現在では土地の特色が失われつつある現状を惜しみ、自然を活かした政治のあり方への願いを込めて北海道への印象を論じる。

有島武郎

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🎧 北海道に就いての印象 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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私は前後約十二年北海道で過した。しかも私の生活としては一番大事と思われる時期を、最初の時は十九から二十三までいた。二度目の時は三十から三十七までいた。それだから私の生活は北海道に於ける自然や生活から影響された点が中々多いに違いないということを思うのだ。けれども今までに取りとめてこれこそ北海道で受けた影響だと自覚するようなものは持っていない。自分が放慢なためにそんなことを考えて見たこともないのに依るかも知れないが、一つは十二年も北海道で過しながら、碌々旅行もせず、そこの生活とも深い交渉を持たないで暮して来たのが原因であるかも知れないと思う。

然し兎に角あの土地は矢張り私に忘られないものとなってしまっている。この間も長く北海道にいたという人に会って話した時、あすこにいる間はいやな処だと思うことが度々あったが、離れて見ると何となくなつかしみの感ぜられる処だなといったら、その人も思っていたことを言い現わしてくれたというように、心から同意していた。長く住んでいた処はどんな処でもそういう気持を起させるものではあろうが、北海道という土地は特にそうした感じを与えるのではないかと私は思っている。

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