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TORENDIA

テレビの科学番組

本文約3,000字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

日本の教育テレビにおける科学番組の現状と課題を論じる。公共放送が掲げる科学普及の重要性に対し、現状の内容は専門性や説得力に欠けると指摘する。科学を生活から遊離した特別なものと見せないためには、結果だけでなく実験の過程を見せる指示実験が不可欠であると説く。実際に物理実験の放送を試みた際の、スタジオ環境や準備体制の不備といった苦闘を通じ、教育・科学番組に対する放送側の姿勢を厳しく問い直す。

中谷宇吉郎

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🎧 テレビの科学番組 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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コクのない内容 NHKの教育テレビで、毎日曜日の午後、「日曜大学」というシリイズものを、一時間番組として、放送している。  今の日本は、科学普及とか、科学振興とか、全く馬鹿の一ツおぼえのように、科学、科学といっておれば、それで通る世の中である。日曜大学の方でも、御多分にもれず、科学及び技術関係の番組を、この時間に、主としてとりあげている。主旨はまことに結構なのであるが、褒めてばかりもおられない点もある。

公共放送としては、こういう番組こそ、一番大切なものである。フランスにも、NHKと似た性格のものがあって、そこでもラジオ大学の放送をしている。これはかなり高級な講義であって、世界各国から、いろいろな学者を集めて、おのおの専門の話をさせている。

この一月だったか、NHKを通じて、そこから、「雪と氷」という題で、六回連続の放送を頼まれたことがある。フランス語はできないからと断ったら、英語でもよいという。それで英語の録音テープを送っておいた。外国語だと、余裕がでてこないので、どうしても話が堅くなる。けっきょく大学の講義みたようなものになってしまった。

これは巴里から放送するので、大部分の聴取者にとっては、英語は外国語である。それにこんな堅苦しい話では、ちょっと困るかもしれないと思っていたが、別に駄目だともいってこない。かなり高踏的な性格をもっているようである。

それに較べるわけではないが、日曜大学と限らず、日本の教育テレビの科学番組は、がいして、内容にこくがない。いろいろな機械や、測器などを並べて、これで何を測るなどといってみても、そういうことで、科学知識を普及させることはできない。

機械の名前や使い方を教えるのは、セールスマンに任せておけばよいことである。NHKは世界でも類の少い、ぼう大かつ強力な公共放送である。それが教育テレビで、日曜大学などと銘をうっている次第である。セールスマンの役目を果して、それでいばっているわけにはいかない。

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