TORENDIA
宿醉
萩原朔太郎
TORENDIA
宿醉
本文約370字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
悪寒とともに目覚めた宿酔の苦しみ、昨夜の放埒への悔恨とピストルへ伸ばしかけた手、そして夜が明けた安堵までを生々しく詠む萩原朔太郎の詩。
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🎧 宿醉 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ
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堪へがたき惡寒おぼえて
ふとめざむれば室内の
壁わたる鈍き光や
障子を照らす光線の
やや色づきて言ひ知らず
ものうきけしき
物の香のただよふ
宿醉の胸苦し
腦は鉛の重たさに
えたへず喉は
ひしひしとかわき迫り
口内のねばり酒の香
くるめくにがき嘔づく思
そぞろにもけだものの
かつゑし心
獰惡のふるまひを
思ひでて怖れわななく
下卑たる女の物言ひざま
はた酌人の低き鼻
どすぐろき頬の肉
追はんとすれど執拗の
まぼろしは醜かり
しかすがに昨宵の現に
狂ひしよただ接吻のえまほしく
肉ふるはせて抱きしは
我が手なり、脣に臭ぞ殘る
放埒の慾心の
あさましく汚らはし
ああ悔恨は死を迫る
つと起き出でてよろよろと
たんすを探る闇の中
しかはあれ共ピストルを
投げやりてをののきぬ
怖れぬ床に身を臥して
そのたまゆらに狂ほしく
稚子のやうにも泣き入りぬ
さはしかすがに事もなく
夜の明けたるを悦びて
感謝の手をば合せぬる。
完
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