TRENDIA CLASSIC
アイヌ語学
知里真志保
1 / 3
アイヌ語の研究にかけては、世界的な権威として、その名声をうたわれているジョン・バチラー博士が、アイヌ語で説教をして、アイヌを感心させたという話が伝えられております。明治の中頃、といえば、アイヌがまだアイヌ語を使って暮らしていた時代なのでありますが、北海道の南の方の、とあるアイヌ部落に、当時まだ非常に若く、新進気鋭の牧師であられたバチラー博士があらわれて、部落のアイヌを集めて、キリスト教について、アイヌ語で説教を致しました。滔々と何時間か、アイヌ語でペラペラと説教をするのを、ポカンと口を開いたまま、呆気にとられて聞いていたアイヌたちは、博士の長い長いアイヌ語の説教が終ると、感嘆していったということであります。――「えらいもんだな。さすがに、鉈と鎗を使ってものを食う先生だけあって、あのアイヌ語のうまいこと!ただ惜しいことには、北の方のアイヌ語でしゃべったので、何をいったんだかちっとも分らなかった」といったというのです。そのバチラー博士が、今度は北の方の部落に現われ、やはり滔々とアイヌ語で説教しますと、そこのアイヌも、びっくりして、――「えらいもんだな。さすがに、ものを食うにも鉈と槍を使って食う先生だけあって、あのアイヌ語の上手なこと!ただ惜しいことには、南の方のアイヌ語でしゃべったので、何をいったんだか、さっぱり分らなかった……」、といったということであります。
知里真志保の他の作品
TRENDIA CLASSIC
『愛国心』私は
こう思う
知里真志保
『愛国心』私はこう思う
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
アイヌ語のおも
しろさ
知里真志保
アイヌ語のおもしろさ
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
生きているコタ
ンの銅像
知里真志保
生きているコタンの銅像
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
アイヌ族の俚謡
知里真志保
アイヌ族の俚謡
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
アイヌ宗教成立
の史的背景
知里真志保
アイヌ宗教成立の史的背景
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
おば金成マツの
こと
知里真志保
おば金成マツのこと
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
金成マツとユー
カラ
知里真志保
金成マツとユーカラ
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
言語と文化史
知里真志保
言語と文化史
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
学問ある蛙の話
知里真志保
学問ある蛙の話
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
あの世の入口
知里真志保
あの世の入口
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
洞爺湖の伝説
知里真志保
洞爺湖の伝説
知里真志保
TRENDIA CLASSIC
ホッキ巻
知里真志保
ホッキ巻
知里真志保