TRENDIA CLASSIC

アイヌ宗教成立の史的背景

知里真志保

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座長(小林高四郎)では知里さんにお願いします。

知里(真志保)私ははじめ、言語から見たいわゆる貞操帯の起源、というような演題でお話しようかと思い、いささか資料も準備して来たのでありますが、はからずも先刻に河野広道氏がその問題にふれられ、ご親切にも私の持参した新資料―樺太アイヌのチャハチャンキ(chax-chanki)までも自発的に紹介の労をとって下さったので、その問題は一応ひっこめることにいたします。貞操帯に関する論議はなかなかデリケートな点にもふれなければなりませんし、かたがた病床から起きだして来たばかりの私にとってはそのようなよけいな神経を使うのはいささか重荷でもありますので、ここではアイヌに存在した呪術的仮装舞踊劇のことをお話して、神話の起源にふれ、神の観念の形成される史的背景を明らかにし、さいきん問題になっているイオルやパセオンカミの問題にもふれてみたいと存じます。

一 アイヌ社会に於ける呪術的演劇の存在

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