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TORENDIA

海よ

本文約410字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

門を閉じ裏の垣根を越えて渚へと逃れ出て、世間に背を向け海と向き合うひとときと、やがて訪れる別れの予感を詠む三好達治の詩「海よ」。

三好達治

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🎧 海よ / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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門を閉ぢよ 心を開け……

それで私は 表を閉めて

裏の垣根を越えてきた

蜜柑畠の間を拔けて

海よ お前の渚に

かうして私は一人できた

ああ陽炎のもえる初夏の小徑

眩めく砂の上で

海よ 私は何を考へよう

思出のやうにうすぐもつて

藍鼠色にぼんやりした 遙かなお前の水平線

私はお前に向きあつて

私は世間に背中を向ける

門を閉ぢよ 心を開け……

それで私は表を閉めて

裏の垣根を越えてきた

海よ お前の渚に

かうして私は腰を下ろし

かうして私は甲羅を干す

天と 地と

岬の鼻の鴉の群れと

膨らみ上る ああまるく高く膨らみ上るお前の浪の數々と

胸のしんにずんと響く そのお前の歌聲と

きらめくばかり眞白な 季節の新らしいそれらの帆の

二つ三つと

海よ

海よ

やがて私は旅だつだらう

海よ

お前のこの渚からも

やがて私は旅だつだらう

人の不實を憤ることも

自らの眞實に醉ふことも

その時私はやめるだらう

その日がやがて來るだらう

ああその

お前と別れる日のために

今日私はお前を謳ひ

今日私はお前と遊ぶ

お前の渚に

私は今日お前と遊ぶ

完

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