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TORENDIA

わなゝき

本文約490字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

晩春の雨が降る夜、柏の木に落ちた一羽の小鴒の姿が詩情を誘う。作者は古甕から神酒を汲み、静寂の中で胸の震えを感じながら思索にふける。やがて木蓮の散る音とともに広がる大いなる震えは、天地を包み込み、霊的な情景へと昇華されていく。本作は、移ろいゆく季節の情緒と、自己の内面で高まる根源的な震えを、叙情的な言葉で綴る詩作品である。

末吉安持

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🎧 わなゝき / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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瞬時の夢の装飾も、

しかすがに彩映ゆれば、

紫の絹の帳、

永遠の生命ありと、

平和を守りいつきて、

心ある春の雨は、

軟らに音なく濺いで、

しのびに葉末を流れぬるか。

瞬たけばまた夜明けて、

瞬たけばまた日暮れぬ、

直黄もゆる夕雲を、

きらの眼に見かへりて、

白無垢の乱れ羽に

血を浴べる、小鴒一羽、

枝ぶり怪しき柏の

木ぐれに落ちたる様はいかに。

瞬たけばまた夜明けて、

四辺また暗き千里、

かゝるときや古琴も、

虫ばみ折れて落つらむ、

若葉の雨も今宵は、

蕭々のわび音立てゝ、

あな悲し白木蓮の

ほろゝのこぼれぞ胸にひゞく。

点滴拍子さびしう、

刻々夜をきざみて、

短檠のほびも瘠せぬ、

小香炉の灰も冷えぬ。

晩春の項重う、

古甕の神酒を汲みて、

肱まくら思ひ入れば

あゝ胸柱切にわなゝく。

わなゝきはあわたゞしく、

小暗き室をはしりて、

闇に消えぬ、一しきり

木蓮の散る音につれ、

古甕はげしく裂けて、

あら御酒の泡もとめす、

大いなる、わなゝきぞ、

天地のかぎりにひろごりぬる。

折りから真闇のをちに、

生命の緒断つ氷鋏、

わなゝく大気にひゞきて、

終焉の影を依々たる、

あゝ束の間の装飾に、

酔ひしれず、霊のまへに、

涙の意さぐらずば、

わが魂いかにか迷ひけらし。

完

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