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TORENDIA

魅力と親しみと美に優れた良寛の書

本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

良寛の書が持つ稀有な美と真善美を兼ね備えた魅力について論じる。人格が反映された至妙な筆致や、僧侶型に囚われない自由闊達な表現力に着目し、古法帖の長所を自家薬籠中のものとした手腕を称賛する。技術と心境が見事に融合したその書風を、世間の様式美から離れた純粋な人間としての身嗜みと位置づけ、江戸時代における書道の第一人者としてその芸術的価値を高く評価する。

北大路魯山人

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🎧 魅力と親しみと美に優れた良寛の書 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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良寛様のようなずばぬけた書を、我々如きが濫りに批評するなどは、僭越に過ぎるかも知れぬが、常々良寛様に親しみと尊敬とを持っている一人として、感ずるところを、一応述べさせて貰うことにする。

良寛様の書は質からいっても、外貌からいっても、実に稀にみるすばらしい良能の美書であって、珍しくも、正しい嘘のない姿である。いわゆる真善美を兼ね具えたものというべきであろう。かような良能の美書の生まれたのは、良寛様その人の人格が勝れて立派であったからである。書には必ず人格が反映しているもので、人格が反映していない人格以上の書の生まれ出ることなど、まずもってあり得ない。

良寛様の書は、良寛様のあの人となりにして、初めて生まれたものなのである。今一方仮りに、良寛様の人格を封じ込めておいて、単に技能的立場だけから見るとしても、良寛様の書技は大したもので、古法帖に伝わる幾多の能書に比較して更に遜色がないのみか、全く驚異に値する入神の技にまで立ち至っている。この点でも、私は深く感心させられているのである。

良寛様のには、また一点一画と雖も未熟な破綻というものがない。この点、また内容抜きで考えてみても、大天才であることを否む訳にはゆかない。誰しも、どこか一カ所や二カ所は、とかく筆の進行に破綻を来し易いものである。しかるに、良寛様の書には、隅々まで、くまなく検討してみても、それがないのみか、少しの疲れも、弱り目も見せている個所がないのである。

筆はいよいよ妙境のみを走り、人をして一々至妙、至妙と連呼させずにはおかないのである。賢さなどというものでは、とても至り得ない、実に動きのとれない至妙の境界に、その一点一画は確と打ち込まれ、不足のいいようのない組み立てが成立して、美観と構造の上に呈しているのである。ゆえに、よく有り勝ちな危な気というものがなく、安んじて鑑賞できるのである。なおまた、良寛様の書は、その時、その時の心境によって、書技のさばきがつき、自由に縦横に変化を表現し、かりそめにも膠着する処がない。

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