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TORENDIA

愛陶語録

本文約7,000字 ・ 読了時間 約14分

あらすじ(AIが作成しました)

作陶を志す素人が、技術や教養の不足を補いながらいかに芸術の真髄に迫るかを綴る。作者は、自然を最大の師と仰ぎ、実生活と芸術を不即不離のものと捉える。料理を美しく見せる器を追求する中で、独創的な表現や名品に触れる修行の重要性を説く。また、職人芸に陥ることへの戒めや、美の根源を探究し続ける精神の持ち方、そして芸術家として断固として生きる姿勢を論じる随筆である。

北大路魯山人

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作陶への情熱

なにしろ根がずぶの素人の陶作家、固より何の教養もあろうはずもなく、はじめは随分気のひけたものである。今でこそ、素人なればこその見識をそのまま仕事に打ち込むことができるのだ、などと言えるようになった。

それもそのはずである。最初のアマチュア時代が四十代で、それから三十年も経っている。遅れ過ぎて競走するのは全くいやになってしまう。

正直なところ、年甲斐もないのが先ずきまりが悪い。かと言って、他にこれという能もないのが因果、恥を忍びつつやっているまでだが、決して心中大きな顔はしていないつもりである。だが、なんとしたことか、持って生まれた美食道楽がおのずと限りなき欲望を生み、美しく楽しめる食器を要求する。即ち、料理の着物を、料理の風情を美しくあれと祈る。美人に良い衣裳を着せてみたい心と変りはない。この料理の美衣をもって風情を添えることは、他人はどうあろうと、私にはかけがえのない楽しみである。

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良き物を手に入れんとする骨董買い上手の五則。

一 まず第一旦那買いすべき事 二 みだりに値切らざる事 三 一旦買い取りたる上は返品せざる事 四 心に欲すると欲しないは別とし、品物の難くせ言うは悪し 五 儲かるとてみだりに売るべからず        *

途方もない考えがなくては、途方もない結果はない。

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芸術家には芸術と不即不離の実生活があるはずである。むしろ、芸術そのものが実生活である。また、その実生活そのものが芸術である。作品はこれが表現されたものに過ぎない。

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素人で茶碗をこしらえてみたいと軽々しく希望する人がある。これは恐らくその人が平生どんな茶碗を観ても、その茶碗の作家の精神までは観ていないということになる。茶碗に限らず、作品はすべてその人の全人格を正直に表現しているものである。だから、その人が自己の醜は醜として人眼にふれても仕方がないという芸術家魂を持った人でない限りは自己の趣味、自己の精神は茶碗に溶け込んでくるものではない。

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