本文へ移動
TORENDIA

待っていた一つの風景

本文約220字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

今野大力

速度
🎧 待っていた一つの風景 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

痩たる土壌をかなしむなく

遠き遍土にあるをかこつなく

春となれば芽をだし

夏となれば緑を盛り花を飾る

貧しく小さくして尚たゆまず

ただ一つ

秋、凡ての秋において

ただ一つ

種を孕んだわが名知らぬ草

精一杯に伸びんとして努力空しく

夏のま中炎天のあまり枯死してしまったものもある

草にして一生は尊い生命の凡てである

一つの種は一つの種をはらんだ

そして遍土の痩土に

初冬のころ

雪を戴き埋れ、静かに待っていた一つの風景

一九二七年十二月拙き心情を綴り旭川にある小熊秀雄氏に贈る

完

今野大力の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本