本文へ移動
TORENDIA

郷土

本文約650字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

北海の放牧地である北海道の厳しい自然環境と、そこで開拓に従事する人々の素朴な生活の姿を詩的言語で綴る。古来よりこの地で独自の文化を育んできたアイヌの人々による貴重な芸術作品に光を当てつつ、土から生まれ土に還るという自然の摂理と、生命の永遠の循環を謳う。広大な大地と海に囲まれた北方の未開の地において、自然と共に生きる郷土の精神と本来あるべき姿を真摯に描写する。

今野大力

👁 1 ビュー
速度
🎧 郷土 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

1 草深い放牧地よ 北海の高原に群がれる人々を養える郷土よ 北海道よ 未開地よ ここには名もなき小花も咲くであろう 未だ人手に触れない谷間の姫百合も咲くであろう 春ともなれば黄金の福寿草も咲くであろう かくてアイヌ古典の物語も想い出されるであろう 2 おお郷土の人々よ 昔は 卿等が渡道の頃は 何処にも熊は住んでいた 時として卿等よ 憶い起してはならない あの殺伐な熊狩のあたりのことを 又若き人々よ あまりに華やかさを粧うてはならない 卿等の親達は あの幾千年以前から住みなれた故郷を捨てて 一意に 荒野の生活に憧憬れて来たのだから ここでは凡てが自然の素朴であらねばならない 煤びたセピア色もて彩られた家は 最も卿等の住家であらねばならない

おお郷土の人々よ 卿等は自然の人である 卿等は自然の法による 敢て立法博士を要しない 自然は最も自由な さて正確な立法者である 土に生れて 土に還る それは真に意義ある生命の時である 卿等のかばねは 卿等のけものは 卿等の小花は

ああ 自然の不滅にあらぬものは すべて朽ち果てて 豊沃なる土となる かくて永遠に還りゆく…… 3 日本否世界の 神秘派の 古典派の人々よ 此処には珍らしいものがある 木の皮の織物 余韻の歌謡 雑木の彫刻 それら皆露わなままに 虐げられたアイヌ人種の生み成せる まことに尊い芸術である 我等はシャモ(一)は これ等見なれて尚飽くなきものの為めには あらゆる讃美の言葉を惜しまない。 4 ああ オオツク海よ 太平洋よ 氷山流れて港をうずむる 融雪のころ 白熊のうそぶく千島の彼方は アラスカの洲 北極の圏 永遠の冬 我等の郷土はここにある。

(一)アイヌが言う日本人のこと

完

今野大力の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本