猫征伐
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あらすじ(AIが作成しました)
鶏を奪う一匹の野良猫を巡り、家族の間に起きる波紋を綴る。猫を排除しようと策を弄する甥と、殺生を忌む女性陣との間で対立が生じ、甥は捕獲を試みるが失敗を繰り返す。加持祈祷師の老婆が神の託宣を装って介入する騒動を経て、最終的に近隣の農家が猫を引き取り、事態は収束する。害獣としての猫に対する憤りと憐れみ、そして宗教的欺瞞に対する批評を込めて、一匹の猫をめぐる騒乱の顛末を記録する。
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鷄の親鳥、ひなどり、合せて、六十羽ばかり飼ひけるが、一匹の、のら猫來りて、ひよつこを奪ひ去ること、前後、十五六羽に及べり。是に於て、わが家に、一の波瀾起る。その猫を殺さむとは、血氣盛りの甥の意見也。猫も憎けれど、祟るもの也。どうぞ殺して呉れるなとは、母、姉、妻などの意見也。なほ露國が滿洲を占領せしを見ても、清國、韓國などが何等の手出しをも爲す能はざりしが如し。甥、余の意見を問ふ。余曰く、害を爲すものは殺しても可也。されど、女の連中が神經をなやますも、可愛想なれば、殺すことを女に知らすなと。
一夜、甥、盥伏せを設けけるに、猫、果して術中に陷りたり。甥之を蚊帳につゝみて、遠方にもちゆきて、棄てて歸らむとす。母、以爲らく、或ひは途にて殺すことあらむとて、監督として、下女をして共にゆかしめたり。かくて棄てて歸りしが、翌朝、その猫は、直ぐに我庭にあらはれ來れり。勞して功なし。われ甥をあざけりて曰く、正直も事に因る也。何ぞ下女に言ひふくめて、猫を殺して來らざりしぞと。
一夜、甥、余に、うらの竹藪に來て見よといふ。共に行けば、こぼてといふものを拵へたり。こぼては、林中にて鳥をとる一種のしかけ也。甥喜んで曰く、今夜必ずこれにて猫を殺さむと。余曰く、朝、一家の人の未だ起きざる前に來り見よ。猫かゝりて死し居らば、直ちに埋めて、人に知らするなと。翌朝、甥よりさきに目覺めて、往いて見れば、こぼては、そのまゝにて、肴は殘り居らず。猫の奴、狡猾、こぼてにはかゝらざる也。そのまゝ置けば、怪しまれむ。晝間だけ、人に知らさじとて、こぼてをこはしたり。その夜、甥他出す。われ藪の中に入りて、また、こぼてをとり直し、新に工夫を加へて、今夜は、必ずかゝらむと思へり。度々藪の中へ往來するを見て、家人は怪しむ樣子なりしも、こぼてを作るとは、知らざりしやう也。翌朝ゆきて見しに、肴は取られて、猫はかゝり居らず。あゝ、こぼての計略は猫には役立たざる也。