酒友列伝
本文約6,000字 ・ 読了時間 約13分
あらすじ(AIが作成しました)
沖縄出身の著者が、上京後に経験した酒との関わりや、東京のカフェーでの出会い、戦後の「琉球歌人連盟」での活動、そして様々な作家や友人たちと酌み交わした酒席の光景を綴る。詩人の国吉灰雨との交流や、石川正秋の奇行、また酒にまつわる数々の滑稽な騒動などを回想する。酒を通じて結ばれた多種多様な人物との交流を、自らの放浪生活や沖縄への想いと交錯させながら、酒友との思い出を追体験する随筆である。
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十年を一昔とみれば、昔の昔の昔から、ぼくは酒を飲んで来たわけである。飲んで来た酒は主に泡盛で、生れが泡盛の産地の沖縄だからである。十三歳の時、十三祝いの日に酒を飲んで、千鳥足になったことを覚えているが、そのときに酒の味を覚えたのかも知れない。
上京したのは、大正十一年の秋なのであったが、徴兵検査前のことで、中学時代の友達は、すでに一流の酒飲みになっているのであった。そのころの東京では、カフェーの女給さん達も、枯すすきの歌や、さすらいの歌をうたっていた。ぼくは年内に、三度下宿を変えたが、三度目の下宿は、矢張り中学時代の友人のSの部屋に寄食したのであった。Sは郷里の中学を中退して、東京のある中学へ通っていたが、酒は一流で、時々ぼくを誘って、近所のカフェーで飲んだ。下宿は、本郷台町にあって、下宿屋街の路地を曲り曲って、丁度大学の赤門と向かい合ったあたりの横丁にそのカフェーがあった。ある夜、Sとふたりでそのカフェーで飲んで、エプロン掛けの女給さん達といっしょに、枯すすきの歌をうたったりしていると、傍のテーブルで一人で飲んでいた青年が、こちらに話しかけ、枯すすきの仲間に割り込んで来ていっしょにうたった。ひとしきりうたって、それぞれがまた盃を傾けていると、その青年から、郷里はどちらかときかれたのである。
「琉球」とぼくが答えると、
「リュウキュウ!」とその青年が云った。
「あなたは?」と青年にきくと、かれは、にっこり笑ったが、