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TORENDIA

宝くじ・その後

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

池袋のコーヒー店で知人らに宝くじ購入の習慣を尋ねた筆者は、記者とともに街中の売り場を巡る。様々な境遇の販売員から売れ行きの実態や客層の話を聞き、抽せん会場の勧銀本店へと足を運ぶ。そこで宝くじの歴史や仕組み、売上金の使途について確認し、静かに進行する抽せんの光景を見守る。本作は、宝くじを巡る人々の姿や販売現場の日常、そして抽せんという一連の営みを淡々と綴る。

山之口貘

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🎧 宝くじ・その後 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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池袋のコーヒー店で、I氏を待っている間を、顔見知りの常連の人達が来るたびに、宝くじを買ったことがあるかどうかを一々たずねてみた。

貿易商のSさんは、時に買うことはあるが、当ったことがないというのである。ある高校の教師をしているHさんは、自分としては買ったことはないのであるが、母から頼まれて買うことがあるという。またある小学校の教師であるK君は、買ったことなんかありませんよといって、どうせあんなの当りませんよというのである。それで、K君は宝くじ屋さんの前をいつも素通りしているわけになるのであるが、お母さんから頼まれて買う時のHさんの宝くじの買い方をきいてみると「自分のではないから選ばずに買う」とのことである。自分のだったら選ぶのかと愚問をさしはさむと、「自分は買わないのだから選ぶこともない」という。

記者のI氏と連れ立って、寒い風のなかに出ると、西武デパートの前の歩道に、ネッカチーフのふたりの宝くじ屋さんが店をひろげている。台の両側に赤く縁どった張り紙がしてあって、墨書で「今日明日限り」とある。抽せんが明後日に迫っているからなのだ。

手前のおばさんの耳のそばまでI氏が近づいて身分のほどを明らかにすると、おばさんはにっこりうなずいた。一年前から宝くじの店を出しているという。天気の日なら一〇〇枚は売れるとのこと、最高七〇〇枚位のこともあるという。なんといっても一枚買いの客が圧倒的で、二枚とか三枚とか買いに来る客もあるが、なかには五〇枚ほどごっそり買って行く客もあるとのことである。「このごろは婦人の方が多いようですね」とおばさんはいってから、「ラッシュはサラリーマンが多いんです」とつけ加えた。

まるぶつデパートのマタの下が池袋駅の東口玄関。歩道に面したそこの大きな角柱を背にして、宝くじを売っている若い男がいる。臨時だとのことでこちらの話を避けたが、何枚売れたかをたずねると「一枚」と答えた。

横断歩道をわたり、三越デパートに足を運んだ。前の三角くじのころは、デパートのなかでもそれを売っていたとのことを聞いていたのだが、空しくそこを出た。

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