ウィネッカの冬
本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
ウィネッカの冬の寒さや自動車のスリップ事故、歩道の凍結に対する対策など、シカゴ近郊の住宅地における冬の日常風景を描く。また、隣町に位置する雪と氷の研究所がなぜこの地に設立されたのかという背景を解説し、北極圏開発を見据えた研究の目的や、アメリカ流の合理的な研究材料の調達方法を紹介する。さらに、冬の厳しい気候の中でも暖かく保たれた家庭生活や、クリスマスと大晦日の過ごし方を通じてアメリカ中流階級の生活を綴る随筆である。
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ウィネッカの冬は寒い。緯度はだいたい北海道の真中くらいで、寒さも似たようなものである。
雪は少なくて、普通の年では五寸も積れば、皆大雪と思っている。三寸くらいのことが多く、根雪になることはまずない。気温が低いので、融けることは滅多にないが、風が相当強いので、二、三日もすると、皆蒸発してしまう。雪は少なくても、北海道くらいの寒さで、風が強いから、外はずいぶん寒い。しかし出歩きはたいてい自動車だし、家の中は煖房がよく設備されているので、寒さはそう気にならない。問題は雪だけで、三寸も積ると、自動車がスリップをして、まことに危険である。
自動車のスリップは、非常に怖いもので、相当速度の出ている時に、急にブレーキを踏むと、車体がぐるぐると独楽のように廻って、どこへ行くか分らない。道の上には、たくさん外に自動車が走っているので、たいていどれかとぶつかってしまう。
夕方居間の窓越しに、表の道路を見ていると、仕事場から帰る自動車が、どれもこれも、そろそろと、まるではうように動いて行くことが、時々ある。夕方から気温が下って、雪が凍って滑りやすくなったのである。そういう晩に、娘たちが何か出かける約束でもしてあると、妻が心配して、くどくどと注意をする。そして「分っていますよ。ブレーキの踏み方、私がママに教えて上げたんじゃないの」と、剣突をくっている。
一番怖いのは、朝である。夜中に気温が下って、雪が凍り、その上に明け方少しばかり新雪があったりするのが、最悪の条件である。そういう時には、町役場の方で、トラックに砂と岩塩の粉とをまぜたものを積んで、それを道路の上にまいて歩く。朝の八時の出勤に間に合うように出かけて行くと、よく途中で、このトラックに会う。