TRENDIA CLASSIC
雪の話
中谷宇吉郎
1 / 6
一
この頃新聞を見ていて気の付いたことは、スキーと雪の記事がこの数年来急に増してきたことである。主なものはスキー地の広告のようであるが、その他に純粋に雪と冬の山とを讃えるような記事もかなり沢山あるように思われる。何でも東京では山の雑誌が十種ばかりも出されていて兎に角そのどれもが刊行を継続されているし、雪の朝は郊外電車がスキー車を出すという噂さえきくほどである。誰かがいわれたように氷雪を思慕するというような心情が吾々のどこかに秘められていて、その一つの現われと見られる現象であるかも知れない。もっとも日本人が脂肪質を沢山喰べ、毛織物を一般に用いるようになったためかとも考えられる。
札幌へきてから今年で五度目の冬を迎えるのであるが、最初の冬は話に聞いていた北海道の寒さに気兼ねをして神妙に控えていたが、案外凌ぎよいので内心安神した。広い埃っぽい道路が白いコンクリートで固められてかえっていい位に考えていたし、硼酸の結晶のようにきらきら輝いた雪の上に、雪下駄の鋭くきしむ音も案外快く耳に響いた。ところが二度目の冬になって、これはやはり相当な寒さであると感じるようになった。最初の冬は寒さの感じ方に馴れなかったためらしい。この二度目の冬を越すともう大丈夫で、そろそろ雪の研究でも始めようかという気になった。
中谷宇吉郎の他の作品
TRENDIA CLASSIC
I駅の一夜
中谷宇吉郎
I駅の一夜
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
アイクと鳩山さ
ん
中谷宇吉郎
アイクと鳩山さん
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
あすへの話題
中谷宇吉郎
あすへの話題
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
油を搾る話
中谷宇吉郎
油を搾る話
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
新しい生花
中谷宇吉郎
新しい生花
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
アメリカ種の落
語
中谷宇吉郎
アメリカ種の落語
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
安倍さんとタゴ
ール
中谷宇吉郎
安倍さんとタゴール
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
「悪魔の足跡」
中谷宇吉郎
「悪魔の足跡」
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
赤倉
中谷宇吉郎
赤倉
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
アメリカの旅
中谷宇吉郎
アメリカの旅
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
アメリカの新聞
中谷宇吉郎
アメリカの新聞
中谷宇吉郎
TRENDIA CLASSIC
アメリカの沙漠
中谷宇吉郎
アメリカの沙漠
中谷宇吉郎